履歴書の欄にある「自己PR」に関しては、書類選考でも重要視されますし、面接の場でほぼ聞かれると思っておいていい項目です。
ここでは、自己PRを作成するポイントや、実際に介護職員の採用活動に関わったご経験のある面接官からヒアリングをした、おすすめの自己PR文をいくつか紹介します。
自己PR文を作成するポイント
面接の場では、自己PRと志望動機を混合する方がいますが、両者には明確な違いがあります。
- 自己PR…自分の売りや長所、スキルなど
- 志望動機…求人応募した理由と、入職してからやりたいこと
志望動機とは、応募した事業所の介護方針や企業理念を理解した上で、自分が入職したら「何をやりたいか」を明確に伝えることです。
一方で、自己PRとは、自分の長所やスキル、実務経験などをアピールすることで、面接官に「この人材を採用することは弊社にとってメリットがあるな」と思わせることを目的としています。
面接官に採用するメリットがあると感じてもらうには、「もう40代なので、後がないから頑張ります!」や「努力や根性だけは誰にも負けないです!」といった気持ちだけを伝えるだけでは、たとえホンネであったとしても、なかなか評価してもらえません。
面接官に、自己PRをしっかり伝えるためには、過去の経験を交えた具体的なエピソードを盛り込んだ内容がベストです。
おすすめの自己PR文まとめ!
ここからは、本題のおすすめ自己PRをいくつか紹介します。
なお、介護職未経験者と、すでに介護職の経験がある方の2パターンに分けてまとめています。
未経験の自己PR文
私はまだ介護士の資格を取ったばかりで実務経験はありませんが、ケガをして身体が不自由になったときに、補助を受けたことならあります。
当時は、周囲の人に助けられながら食事をとったりトイレに行ったりしました。
とてもありがたく感じた反面、「もっとこうしてほしいのに」と感じても言えず、もどかしい想いも抱きました。
私が御社に入職したら、ご利用者様の表に出せない気持ちにも配慮ができるホームヘルパーを目指します。
自分の経験から、何を学んだのかを伝えることで、実現したい目標や人物像がイメージできますよね。
介護する側としてでなく、介護される側の気持ちを汲もうとしているところに人間性の良さを感じます。
補足ですが、ホームヘルパーのお仕事は想像以上にハードなので、学生時代のスポーツや部活動経験は好印象になります。
どんなスポーツをやってきたのか、全国大会で上位にランクインした実績があれば、さらにプラス評価を得るでしょう。
私の長所は、粘り強く諦めないところです。
学生時代の友人作りにおいても、初めは多少冷たくされても、落ち込まずにすぐ切り替えて、「なんで上手にお話できなかったんだろう?」「次はこういう話題を振ってみよう」などと、失敗する原因を突き止めてから次に生かすことが得意でした。
ホームヘルパーは未経験ですが、この長所を生かせば成長していけると考えております。
どんなお仕事でもそうですが、とくに介護の現場では、未経験ヘルパーは気難しいご高齢者の対応にとても苦労するものです。
失敗する度に落ち込んでしまい、うまく気持ちの切り替えができないヘルパーよりも、失敗を引きずらず気持ちを切り替えて、「今回のミスは何が原因で、次回はどうすればうまくいくのか?」を考えられる人の方が、面接官の印象はアップするでしょう。
私の前職は営業職でした。
仕事上の人付き合いは、もともと親密な関係を築くことに抵抗がないため、お客様とも初めはうまくいっていたのですが、距離があまりにも近かったので、利益重視の会社の方針に合わず、ホームヘルパーへ転職を決意いたしました。
ホームヘルパーなら、ご利用者とどれだけ親密な関係を築けるのかが大切だと思いますし、私の能力を最大限生かせると考えました。
自分のセールスポイントを理解した上で、前向きな退職理由にも繋げているところがポイントですね。
人付き合いに抵抗がなく、介護において適性があるんだというアピールもできています。
町内のお祭りなどのイベントが大好きで、必ず参加しています。
イベントの設営準備に率先して出ることや、イベント当日にはたくさんの地元民との交流ができて、人との繋がりを感じられるのが嬉しいです。
多くの方と喜びを分かち合えるところが、私の長所だと思います。
人との繋がりに喜びを感じるエピソードは、何も町内イベントでなくても構いません。
たとえば、学生のころに体験した合宿の話や、ボランティアなどでもOKです。
同居している祖父(または祖母)がデイサービスに通っていたときに、初めて介護の世界に触れました。
当時、自分も付き添ったりして過ごしていたので、ご高齢者がどんなタイミングでケアが必要かを感じ取ることができます。
祖父(または祖母)と過ごしていると、自分まで元気がもらえることもあったので、今度は自分が元気を与えられるようなヘルパーを目指したいと考えています。
介護業界では、鉄板とされるおじいちゃん・おばあちゃんエピソードですね。
エピソードは、介護施設などのかかわりがなくても十分効果はありますが、施設とのかかわりを経験している方なら、「もっとケアをこうして欲しい」「施設職員からこんな言葉を言われて傷ついた」といった家族側の立場になったことがあるハズなので、ご利用者のご家族側への対応もしっかりできるのではと期待値がアップします。
経験者の自己PR文
ただ愛想を振りまくだけのご利用者主体の方針では、必ず経営は傾きます。
私は、ご利用者は当然のこととして、職員含むすべての方に気配りができるのが本物のホームヘルパーだと思います。
私は、そんなヘルパーを目指します。
上記は、経営側の視点も取り入れた自己PRですね。
介護転職サイトのほとんどが、「ご利用者のために」をキャッチフレーズに自己PRを推奨していますが、あえて逆説的に否定から入ってみるのも良いと思います。
私の担当したご利用者で、身体がうまく動かないので掃除ができず、部屋が散らかっていた方がいました。
その方は本来とても綺麗好きな方で、汚い部屋に住んでいる自分が許せずふさぎこんでおり、部屋が汚いことを理由にお孫さんの訪問も断っていました。
そこで、サービス利用時に少しずつ片付けのお手伝いしたところ、とても明るくなられました。
ヘルパーとして当然のことをしたまでですが、御社に入職後もこの経験を生かして、ご利用者の望む生活スタイルを実現するお手伝いをしたいです。
経験者からすればありふれたエピソードでも、面接官からすれば「採用後はこんな風に働いてもらえるのか」とイメージができるため、好印象を与えることができます。
今ではたくさんの介護施設や老人ホームがありますが、私は職員の言葉遣いがとても気になっています。
先日、テレビ番組でご高齢者を紹介するシーンで、あるタレントが「このおばあちゃん、可愛いっ」とコメントしていました。
ご高齢は私たちの先輩にあたるわけですから、心の中で可愛いと思っても、伝え方には十分な配慮が必要だと考えます。
私は働いていく上で、ご高齢の方には尊厳や尊重の気持ちを持って、丁寧な言葉づかいで接していきたいです。
ご高齢者に対する言葉遣いは、介護業界でいつも問題視される話題の一つです。
このエピソードのように、実務体験からだけでなく、テレビや書籍などから感じたことを自分の意見として自己PRにしていくやり方もアリですね。
まとめ
自己PRで大切なポイントは、自慢話とはまったく違うと認識することです。
自慢話は、応募先の事業所にとって有益な内容ならまだマシですが、応募者に謙虚さがみられないと、いくら優秀な人材でも協調性がないと判断されて、不採用となることは十分にあり得ます。
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