施設介護から在宅介護へシフトする流れの中で、介護を必要とする重度者が家で暮らすケースが増えてきました。
政府は2012年4月に、定期巡回・随時訪問サービスを提言しました。24時間体制で夜間も活動することから、夜間対応型訪問介護とも呼ばれます。
従来の訪問介護サービスと大きく異なる点は、定額制であるところや、介護士と看護師の連携強化を掲げているところですね。
ここでは、「夜間対応型訪問介護」について、詳細をご説明します。
定期巡回サービス
「定期巡回サービス」とは、ホームヘルパーがケアマネージャー(※以下、ケアマネ)の作成したケアプランに沿って、夜10時から朝6時までの時間帯で決まった時間にご利用者宅へ訪問して、おむつ交換や体位変換、安否確認を行うサービスです。
随時訪問サービス
「随時訪問サービス」とは、オペレーションセンターまたは、オペレーターを担う職員が、ケアコールで訪問の要請を受けて、ホームヘルパーが訪問するサービスです。
定額制の「定期巡回サービス」と違い、1回の利用ごとに料金がかかります。
ケアコールとは
ケアコールは、ご利用者の容態が急変した場合などに、ホームヘルパーや看護師の訪問をお願いする端末。
ケアコール端末は、「夜間対応型訪問介護」サービスの窓口となるオペレーターと、サービスを受けるご利用者それぞれが所持することを義務付けられている。
オペレーションサービス
オペレーターが、ケアコールを受けて、ヘルパーを派遣するかどうかなど判断をして、ホームヘルパーや看護師など必要な人材を選定、手配するサービスです。
上記の「随時訪問サービス」は、オペレーターの指示の元、ご利用者宅へ訪問します。
訪問看護サービス
看護士がご利用者宅を訪問して、お世話や診療の補助などを行います。
従来の訪問介護サービスとの違い
一見、従来の訪問介護サービスと違いがないように思えますが、以下のようなメリットがあります。
- 従来の訪問介護サービスの買物代行はご利用者宅から出発するルールがありますが、定期巡回サービスなら訪問の合間に買い物を済ませておいて届けることができる
- 従来の訪問介護サービスは、限度額を超えると10割負担となるデメリットがありますが、定期巡回サービスなら定額制なので安心して利用できる
- 従来の訪問介護サービスは、ホームヘルパーの数によっては、バランスよく定期的なサービスを受けることが難しいですが、定期巡回サービスならバランス良く訪問してもらえる
- 従来の訪問介護サービスは最小サービス時間数が30分ですが、定期巡回サービスは時間の制約はなく、5分でも10分でも利用できる
働く場所は一体型事業所と連携型事業所
ホームヘルパーとして、「夜間対応型訪問介護」のお仕事をする場合、「一体型事業所」か「連携型事業所」に入職する必要があります。
- 一体型事業所…同じ事業所内で働く介護士と看護師が、一体してサービスを提供する
- 連携型事業所…別の事業所で働く介護士と看護師が、連携してサービスを提供する
夜間対応型訪問介護を利用する条件
「夜間対応型訪問介護」を利用するには、以下の条件をクリアしている必要があります。
- 要介護1~5の判定をされたご利用者
- 事業所と同じ市区町村に住居がある(※例外アリ)
- 自宅またはサービス付き高齢者(※以下、サ高住)で生活していること
夜間対応型訪問介護で働ける求人は少なめ
平成24年からスタートした「夜間対応型訪問介護」ですが、厚労省の資料内容や、転職サイトの求人数をチェックする限り、まだ普及率が低く、ホームヘルパーを募集している求人数は少ないです。
たとえば、転職サイトで有名な「きらケア」や「スマイルサポート介護」、あるいはポータル求人サイトの「ジョブメドレー」や「カイゴジョブ」などで検索しても、全国で4~50件程度の求人数しかない状況です。
どうしても「夜間対応型訪問介護」のお仕事がやりたい方は、下記厚労省の介護サービス情報公表システムを利用するのが手っ取り早いでしょう。
「夜間対応型訪問介護」や「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を検索すると、該当の事業所リストが出るので、ホームページや直接電話などで、募集状況を確認してください。
介護サービス情報公表システム:
http://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/
参考資料等