在宅や有料老人ホームで暮らすご利用者の自立支援を担うホームヘルパー(訪問介護員)は、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)に在籍する働き方が主流です。
訪問介護事業所を運営する法人は、社会福祉法人・医療法人・生協・NPO法人などたくさんありますが、最近では、参入数の多い民間の営利企業の求人募集が多い傾向にあります。
ホームヘルパーの仕事内容は、主に身体介護と生活援助があります。
ここでは、身体介護と生活援助の仕事内容について、実際に訪問介護事業所で働くホームヘルパーの声をヒアリングしながら、「ホームヘルパーの仕事って、どんなことをするの?」と疑問を持たれている方向けに、情報をまとめました。
ご参考になれば幸いです。
身体介助
身体介護とは、ご利用者の身体に直接触れて行う介助を行うお仕事です。
身体介護に該当するお仕事は、主に「(特段の配慮)調理」「食事介助」「口腔洗浄」「衣類着脱介助」「入浴介助」「排泄介助」「体位変換」「移乗介助」「移動介助」「通院・外出介助」「たんの吸引や経管栄養」があります。
特段の配慮をもって行う調理
「特段の専門的配慮をもって行う調理」とは、腎臓食・肝臓食・糖尿食・胃潰瘍食・貧血食・高脂血症食・痛風食などで、医師から食事制限を受けているご利用者に対して、管理栄養士などから献立指導を受けて行う調理です。
たとえば、ご利用者の嚥下状態が悪く、飲み込む時に誤嚥してしまう可能性があるときには、食事をペースト状にしたり、汁物にとろみをつけて提供したりします。
高血圧や糖尿病のご利用者には、塩分やカロリーを抑えた食事の提供が必要になりますし、腎不全を患っているご利用者には、生野菜を食べてはいけないので、一度茹でこぼした野菜を調理しなければいけません。
安全に食事をしていただくために、主に以下の食事を提供しています。
誤嚥対策に必要な配慮
きざみ食
きざみ食とは、咀嚼(※そしゃく。噛む力)機能が低下したご利用者でも食べられるように細かく刻んで提供する食事のこと。
軟菜食(ソフト食)
軟菜食(※なんさいしょく)とは、舌や歯ぐきでもつぶせるくらいのやわらかさで提供する食事のこと。
ミキサー食
ミキサー食とは、ミキサーなどで食材をどろどろのペースト状にした食事のこと。
そのまま摂取すると、水分量が多いことからノドを通りやすい特徴があるので、誤嚥の原因となります。対策として、とろみ剤でとろみをつけて、誤嚥を防ぎます。
嚥下食
嚥下食とは、ご利用者の咀嚼や嚥下状態に合わせて、誤嚥を防ぐとろみや飲み込みやすい固形物の調整などを行い提供する食事のこと。
流動食
流動食とは、具なしの汁物・ジュースやヨーグルトなど噛まずに食べられる食事のこと。
消化が良く胃や腸への刺激が少ないので、内蔵機能が低下した方でも摂取できるのが特徴です。
事業所によっては、管理栄養士の資格がなくても、ホームヘルパーが嚥下に対する知識を持っていれば、病院が指示する医療食を参考に調理を許可しているところもあります。
また、特別な配慮をしながらの調理は時間と人材を要するので、宅配弁当やレトルト食品を活用する場合もあります。
一般的な調理との違いとは
「特段の配慮を必要とする調理」と「一般の調理支援」との違いは、ご利用者の健康状態によって、医師の指示がされているかどうかです。
一般の調理支援は、ご利用者の意向に沿って献立を決めることが多く、栄養学の専門知識がないホームヘルパーでも行える調理です。
一般の調理支援であっても、ご利用者の栄養バランスへの配慮や、病気予防や改善を目指すことを目的に行う部分は一緒です。
食事介助
「食事介助」とは、主に嚥下(えんげ)障害のある高齢者や、麻痺などの障害がある方の食事をサポートすることです。
嚥下障害とは、食べものを飲み込むチカラや咀嚼(※そしゃく。口の中で噛むこと)が弱く、食べものが食道を通らず器官に入ることで、むせてしまう症状をいいます。
食べものでむせてしまうと、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
誤嚥性肺炎とは
食べものが食道ではなく器官に入り込んでしまうことが原因で肺炎を起こす病気。発熱や咳、息苦しさや肺雑音などの症状がみられる。
食事のサポートとは、ただ食べものを口へ運ぶだけでなく、ご利用者の好み・食べるタイミングなどを声かけや観察力によって見極めながら、行う必要があります。
咀嚼、嚥下機能が低下している高齢者にとっての食事は、唾液の分泌促進や腸などの機能保持、免疫機能のアップや病気予防など、健康状態を回復させるためにとても大切なものです。
食事介助のポイント
高齢のご利用者は、歯やアゴの力が弱くなっているため、やわらかい食べものを好む傾向があります。
また、飲み込むために必要なノドの筋肉が衰えることで、嚥下機能が低下するため、硬い食べものは飲み込みづらくなります。
飲み込みづらい原因は、唾液量の低下も関係しているため、パンやイモ類など、水気の少ない食べものも、ノドを通りにくいです。
対策としては、水気の多い食材や、とろみをつけた料理の提供が挙げられます。
高齢になると、のどの渇きを感じづらくなる傾向にあるため、適度な水分補給を促すことも大切なポイントです。
作業をせず声かけを徹底することが大切
食事の温度調整は大切なポイントです。
ご利用者は熱すぎるからと「フーッ」と息を吹きかけたり、冷めるまでタイミングを遅らせるといったことができません。
やけどをする熱さの食べものを、口へ強制的に運ばれることは、ご利用者にとって大変な恐怖です。
食事介助は適切なスピードを保つことが大切です。
一度に口に運ぶ量を「時間がないから」とつい多めにスプーンに乗せてしまったり、水分補給時に角度を誤ってご利用者の身体へこぼしてしまうなどのミスを引き起こします。
食事介助中のご利用者との会話にも気を付けましょう。
会話が弾んで、ご利用者様が笑った拍子に食べものをむせてしまわれることもあります。
注意
いかなる介助でも大切なのが、ご利用者への声がけです。
筆者の知るホームヘルパーは、テレビ好きなご利用者だったため、食事介助のときも一緒にテレビを見ていました。
いつもは声かけをしながら食事介助をしていますが、ついテレビに気をとられてしまい、声をかけずに淡々と介助をしていたところ、急にご利用者が口が開けなくなってしまいました。
「声かけをしなかったからだ」と気付いた私は、すぐに謝ったのですが、その日は半分ほど食事を残されてしまいました。
訪問介護は、他に人がいないためつい手を抜いてしまいそうになりますが、ご利用者の信頼を得るためには、訪問介護だからこそしっかりと対応しなくてはなりません。
口腔ケア
口腔ケアは、唾液の分泌量が低下するご高齢者にとって、大切なケアの一つです。
唾液が減ると、ドライマウスといって、口の中や舌の表面が乾いてしまうので、雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
歯周病によって歯ぐきがやせ細り、自歯が抜け落ちて入れ歯を使用する方もいれば、まだ自歯で咀嚼できる方もいるので、ケア方法はご利用者ごとに異なります。
認知症を患うご利用者や、パーキンソン病患者などの障がい者への口腔ケアとなると、「こうしてほしい」と思っていることをうまく言葉で伝えることができないので、私たちホームヘルパーはこまめな声掛けと観察をしながら、慎重にケアをしていく必要があります。
認知症の方の場合はケアされたことを覚えていないことも多いですが、「気持ちいい」「すっきりする」という感情は残るので、関係ができてくるとだんだん協力して下さるようになります。
ここからは、実際にホームヘルパーが口腔ケアのときに失敗した体験談をシェアします。
入れ歯を外そうとすると…
私がまだ入社したばかりのころのお話です。
認知症があるご高齢者の口腔ケアを行うため、入れ歯を外してもらおうと口の中に手を入れて外そうとした正にその時です。
手を噛まれそうになり、口から「ぶーっ」とツバを顔めがけてとばされ、手で払い除けられられるように腕を大きく回して大暴れされました。
私が入れ歯を外すことを拒否したかったようです。
先輩職員に相談したところ、しっかり正面から声を掛けてから行うよう指導を受けて再チャレンジをしました。
声を掛けると同時にジェスチャーも交えながら、懸命に伝えたところ、ご自分から何もしなくても外してくれました。
ご自分で入れ歯は外せるのに、私が声掛けもせずに対応したのが失敗の原因だったんですね。
歯ぐきをケアしていたら…
訪問介護事業所と提携していた歯科医から、歯ブラシで歯ぐきをマッサージをすると、歯が健康になって長持ちすると指導されていたので、口腔ケアのとき、歯ブラシで歯茎をマッサージしました。
口腔ケアを続けていると、ご利用者が「どうして歯を磨かないで、歯ぐきを磨くんだ!」「おまえは帰れ!」と怒らせてしまいました。
事務所に戻ってから、提携している歯科医に電話連絡をとり、入居者様のご自宅に同行して歯磨きについて説明してほしいと依頼しました。
歯科医は予防歯科に熱心に取り組んでいる方で、先生から直接「歯を磨くよりも、歯ぐきをやさしくマッサージしたほうが、歯が長持ちするんですよ」と説明していただくと、ご利用者は「ああ、そうだったんだ。知らなかった。悪かったな、あんなに怒って」と言っていただき、解決できました。
パーキンソン病の方の口腔ケア
パーキンソン病の口腔ケアをしたときのことです。
寝たきりなので、少しベットを斜めに上げて口を開いてもらい、歯ブラシで磨くのですが、奥歯で歯ブラシを噛みしめてしまうので、時間がどうしてもかかりました。
一度でも噛むと力が凄くて、歯ブラシが抜けなくなってしまいます。
対処法としては、口腔ケアの最中にとにかく声掛けをたくさんするようにしました。
それでも、身体が勝手に反応してしまい、力が入ってしまうことがあるので、焦らず時間の余裕をもって行うよう改善したところ、奥歯で噛む回数を少しずつ減らすことに成功しました。
口腔ケア中に歯ぐきから出血
パーキンソン病の方の口腔ケアのとき、歯ぐきに少し歯ブラシが触れてしまい、血が出たことがあってビックリしました。
出血は、歯ぐきの一部にキズがあるのを確認していなかったのが原因でした。
事業所には報告をしてこの件は終わりましたが、次回の訪問のときは、口腔ケア前に確認をしっかり行うよう、改善しました。
入れ歯の装着に手間取る
入れ歯(義歯)があまり合わなくなってきた方で、装着をするときに少し痛みを伴うようになっていました。
ご自分で装着するのは難しいため、私たちヘルパーがお手伝いをしていたのですが、痛がって装着するまでが大変でした。
入れ歯の調整依頼をケアマネ・ご家族へ申請したところ、すぐに対応して下さったので、以前に比べてスムーズに装着できています。
ご本人が自力で装着できないかどうかも見直されたので、現在はヘルパーの補助程度で装着できるようになりました。
ぐらついていた自歯
部分入れ歯を使用している方の口腔ケアをしていたとき、自歯がぐらついているのを発見したのですが、報告を忘れてしまいました。
ご家族が帰宅後に抜けて落ちていた歯を発見したので、口腔ケアのときに抜けたのでは?と疑われました。
ご家族へ口腔ケアのときに取れたのではないことはご説明してご理解をいただけました。
今後は、ご利用者の変化を見逃さず、報告を忘れないよう徹底をしています。
うがい中に誤嚥
認知症のある80代女性の口腔ケアをしているとき、うがいをお願いしたのですが、理解されず水を飲み込んでしまいました。
うまく水が飲み込めず、むせて咳が止まらなくなったため、看護師さんを呼び吸引してもらうことに。
このままだと口腔ケアを行っていくのは難しく、今後は食事も美味しく召し上がれなくなる可能性があるとの判断で、急遽介護・医療・家族の関係者が集まり、話し合いの場を設けることになりました。
それぞれの立場から意見を出しあった結果、以下の対処法を試すことにしました。
- 口腔スポンジ(※先端にスポンジがついている棒状のブラシ)という介護グッズを使い、口腔内の食べ物を取り除く。
- 口腔ケア用のウェットティッシュで口の中を拭う。
- 本人の希望があったときは、トロミを付けた水でうがいをしてもらう。
今は、むせることなく口腔内をキレイに保てるようになったので、良かったです。
つい…うっかりミス
入れ歯を使用しているご利用者の口腔ケアをするとき、本来は歯みがきの必要はなく、入れ歯の溶剤に付けて置くだけなのですが、うっかり歯みがきをしてしまったことがありました。
上司からの指示で間違いに気づけました。
次回からは、口腔ケアを含めて、ご利用者ごとのケアプランをしっかりと覚えるよう、徹底しました。
歯みがき粉をつい…
初めて担当したご利用者の口腔内をみると、ケアが行き届いておらず汚れが目立っていました。
私は、歯みがき粉を使用して、一度しっかりキレイにしようとしたのですが、最中にゴクリと飲んでしまい、ノドへ走る強い刺激でゴホゴホとせき込みました。
ご利用者からお叱りを受けて、とても落ち込んでしまった一日でした…。
上記の一件で、歯みがき粉を使うことのリスクを学びました。
毎回しっかりと口腔ケアを頑張ったおかげで、ご利用者の方は失敗を許して下さり、今では良い関係を築けています。
脱脂綿が口の中に!
寝たきりのご高齢の方へ口腔ケアをするとき、脱脂綿を使って直接指でキレイにしていましたが、ある日、口に入れた脱脂綿が取れなくなってしまいました。
窒息や誤嚥の危険性があったため、慌てて取り出そうとしましたが、認知症があるためになかなか口を開けてくれませんでした。
何とか指で口を押し広げて取り出しましたが、相当な不快感を与えてしまいました。
管理者に相談し、今後の口腔ケアは「口腔スポンジ」を使用して、改善しました。
衣類着脱介助
衣類着脱介助とは、ご利用者の着替えをお手伝いすることです。
主に、デイサービスに行く前の外出の支度や、入浴前と後に行うことが多いです。
衣類脱着介助の注意点は、脳梗塞などで麻痺を抱えるご利用者をケアする場合です。
いざ現場に出ると、脱健着患(※麻痺などのある側から着て、健康な側から脱ぐ原則のこと)を忘れてしまい、途中で服が引っ掛かってしまい内出血や皮膚の剥離、ヒドいときは脱臼や骨折などの大事故につながる恐れもあるため、慎重なケアが求められます。
ここからは、実際にホームヘルパーが衣類着脱介助のときに失敗した体験談をシェアします。
ボタンがはめられない
軽度の手足の麻痺と知的障害のある利用者さんが、デイサービスに行く前の支度をするとき、ホームヘルパーとして着替えのお手伝いをしていました。
限られた時間の中で準備を完了する必要があったため、洋服のボタンをはめる作業をつい私がやってしまっていたのですが、「自分でやる」と意志表示をされていました。
事業所のケアマネとも話し合った結果、「自分でできる、または自分でやりたいことを支援するのも介護で、時間が掛かることを理由に利用者さんの気持ちを踏みにじるのは良くない」と結論になりました。
自治体にも掛け合って、朝の訪問介護の時間をを30分から45分に延長することができました。
15分余裕ができたことで、利用者さんが自分で着替えや準備をするときに見守りとお手伝いを余裕をもってできるようになり、問題は解決できました。
ズボンの締め付けが強い
学校で衣服の着脱の訓練は確かに受けたのですが、現場に出て人に着させるとすると、もたついてしまいます。
ウエストの締め付けが強めなゴムが入ったズボンをはくとき、肌に引っかかって痛みを訴えられたことがあり、時間が掛かりました。
幸い、裁縫には心得があったので、ご了承を得てやや弱いゴムにかえました。
内出血や皮膚の剥離
とくに麻痺などの障害がない方だったのですが、上の服が伸びない素材だったため、少し力を加えて服を脱がせたところ、上腕部の一部を内出血、皮膚を剥離させてしまいました。
もともと、内出血や剥離のしやすい方だったので、もう少し慎重になり介助するべきでした。
謝罪とともに、上司へ報告をして、お医者さんで受診してもらい、治療費はすべて会社負担となりました。
再発防止策として、伸縮性の低い服では同じ事故が起こることは明白だったため、アームカバーの使用と、ご本人からご家族へ伸縮性の高い服を買ってもらうよう頼んでもらうことで、解決できました。
内出血がある部位は、とくに剥離しやすいですし、脱臼や骨折の大けがに発展した恐れもあったので、より慎重に介助をするようになりました。
爪の長さにも注意
衣類の脱着のときは、自力でやれる方だったので、見守りに徹していましたが、服を脱ぐときに長くなった爪が引っかかっていることに気づきました。
対応策として、入浴後にやわらかくなった状態の爪を切ることになり、引っかかることはほぼなくなりました。
つい介助から作業に
自分でできるところはやろうとする意欲の高い利用者さんの家で着脱の介助を行ったとき、声掛けもせずに黙々と介助してしまい、かなりお叱りを受けて「もうお前は呼ばない」と言われた経験があります。
これまで、できるところも自分でやろうとしない利用者を担当することが多かったため、慣れからなんでもしてしまっていたことを反省して、なるべく利用者とコミュニケーションを図りながらできる部分はゆっくりでもやってもらうように心がけています。
結果的に、自立の促進につながったことで、介助がとてもラクになりました!
声掛けの大切さ
ヘルパーを初めて間もないころに、寝たきりの方の着脱介助を担当したときは、焦りからつい高く小さな声で、早口でしゃべってしまい、「どっちに向くの?右?左?」と不安にさせてしまいました。
上記の失敗をしてから、大きな低めの声で、ゆっくり話すようにしました。
声が聴こえると、利用者さんの安心感はぐっと上がります。
入浴介助
入浴介助は、お一人では入浴のできないご利用者の身体を清潔にすることを目的に行います。
入浴によって不衛生な身体をキレイにすれば、感染症や褥瘡(じょくそう)の予防にもつながりますし、ご利用者の尊厳を守る意味でも、重要な介助といえます。
おもに半身麻痺などのご利用者を対象に、2~3人体制で介助しますが、転倒によるケガに注意しなければなりません。
ここからは、実際にホームヘルパーが入浴介助のときに失敗した体験談をシェアします。
脱衣所で失禁
入浴介助で利用者さまの入浴が終わり、服を着ていただこうとした瞬間に失禁されたことがありました。
衣類やお身体だけでなく、脱衣所も汚してしまいました。
あまり入浴が好きな方ではなく、再度の入浴を拒まれたため、お湯で湿らせたタオルで身体を拭いて対応しました。
次回以降は、必要に応じてお風呂場でオムツをつけさせていただくよう依頼しました。
全裸で待機!?
週一程度の訪問入浴を楽しみにしておられた90代の男性ご利用者宅へ訪問したときのお話です。
ある日、家に入るとすでに全裸状態で私たちを待っていました(笑)
早く入りたい思いが先走っての行動ですが、一度、自力で風呂場まで這っていってしまい、廊下で全裸で倒れているところを発見!
ご自宅なので「全裸にならないで」とも言いづらく、ご家族との話し合いの結果、今までベッドだったのを敷き布団へ変更して、寝室から風呂場までの通路に危険なものは置かないよう転倒防止策を講じました。
トラブル時は夏場でしたが、冬場の裸は体温が下がってしまい危険なので、入浴日は事前に暖房を付けておくよう対処をすることになりました。
冬場の浴室
自力歩行ができるご利用者だったため、私一人で入浴介助をすることになったときのトラブルです。
浴槽内の椅子に座ってもらおうとしたとき、足にお風呂の栓から伸びるチェーンが引っかかってしまい、お湯が抜けてしまいました。
当時は冬だったため、裸のままお湯が足されるまで待たされたご利用者から怒られてしまい、凹みました(´;ω;`)
事業所に相談して、2人体制で対応することと、浴室に電気ストーブを設置して、体温低下を防ぐことになりました。
石鹸の間違え
週に1度入浴介助に伺っているお宅があるのですが、そこでやってしまいました。
その方はお肌が弱く、赤ちゃんにも使える優しい石鹸で顔を洗わなくてはいけないのに、間違えてご家族の洗顔で洗ってしまったのです。
入浴を終えてタオルで拭いたときに、顔が真っ赤になっているのを見て気が付きました。
同居の娘さんは外出されていたため、まずはヘルパーステーションに報告をして、サ責から家族に説明と謝罪の電話を入れてもらいました。
すぐに娘さんは帰って来て下さったのですが、もらい物の海外製の石鹸なので、成分が何か分からないとのこと。
念のため娘さんご自身で病院に連れていくことになったので、その日は帰りました。
病院の診察の結果、「合わない石鹸で肌が荒れてしまっただけだろう」と言われたようで、ほっと胸をなでおろしました…。
たまたま大丈夫だったから良かったけど、もしかしたらもっと重大な事故になっていたかも、と思うと怖かったです。
浴槽で大暴れ!
認知症の方の入浴介助中に、すでに済ませたハズの夕飯を「まだ食べていない!」と騒がれてしまい、ウデで叩かれた私はバランスを崩して転んでしまいました。
次回以降、転倒防止策として、新品の長靴を浴槽に持ち込むことを事業所で上司に提案しました。
転倒寸前
麻痺のあるご利用者の入浴介助をするとき、ちょっと目を離したスキに先に浴室へ入ってしまわれました。
浴槽の床にヌメリのある状態だったので、危うく転倒するところでした。
本来であれば、まずヘルパーが浴室に入って、床のスベリやすさを含めた安全を確かめるのがセオリーですが、入浴前の油断が原因で大事故へ発展するところでした。
以後は、入浴前から集中をして目を離さず、気を付けていこうと思いました。
入浴介助リフトの故障
脊髄損傷が原因で、杖を両手に持ってようやく自力歩行ができるご利用者の入浴介助を、ヘルパー2人体制でやっていたときのお話です。
訪問先の近所に、入浴介助リフトが設置されている温泉施設があって、毎週2回通っていました。
あるとき、リフトの故障で使用不可となり、約1週間は自宅のお風呂場で入浴しなければならなくなりました。
事業所やケアマネさんと話し合い、入浴できる場所を探そうということになり、みんなで協力してリフトが設置してある近所の入浴施設を見つけて、使用できることになりました。
自宅のお風呂を改修する必要もなく、解決できて良かったです。
お湯の温度調整
自宅の入浴介助で、お湯の温度にこだわるご利用者の対応をしたときは、温度を確認していただくと「熱すぎる」「ぬるすぎる」の繰り返しで大変でした。
対策としては、最初に少しぬるめのお湯につかってもらって、「どうですか」と声掛けをしながら熱いお湯を足しつつ、調整を行ったところ、少しずつうまくいくようになりました。
入浴拒否
どうやっても入浴拒否されるご利用者がいて、夏場だったので汗による湿疹などの肌トラブルが心配でした。
あまりにしつこくお風呂に誘う私を怒鳴る始末( ;∀;)
仕方なく、お身体の清拭(せいしき)だけやってましたが、ご利用者が入浴剤が好きなことを利用して、少しずつお風呂が楽しみになるよう工夫していました。
シャワーの確認
お湯を出し始めたばかりの、まだ水が出ているシャワーで、ご利用者の身体にかけてしまい、お叱りを受けたことがあります。
また、ご自身で洗えるところまで手伝ってしまったことで、ご家族から注意をされたこともありました。
排泄介助
排泄介助は、ご利用者にとっても尊厳に大きくかかわる場面です。
本来であれば、他人や家族であっても見られることのない排泄物を、ホームヘルパーに見られるわけですから、より神経を使う必要があります。
排泄介助の方法は、便器を使用した排泄介助もあれば、オムツ交換による介助もあり、ご利用者の状態によってさまざまですが、自力でやれるところはして頂く考え方は、他の介助と一緒です。
ここからは、実際にホームヘルパーが排泄介助のときに失敗した体験談をシェアします。
トイレから転倒
ご利用者さんの排泄介助のため、ベッドからポータブルトイレへ移乗していただきました。
利用していたポータブルトイレが肘掛けや背もたれがない「おまるタイプ」だったため、私が少し目を離したスキにバランスを崩して、倒れそうになっていて危ないところでした。
危険性を察知できなかった私のミスでもありましたが、トイレの改善はできないものかとケアマネに相談したところ、介護保険制度を利用して肘掛けや背もたれが付いたポータブルトイレを購入することになりました。
おかげでトイレに座っているときのバランスの安定が図れるので、転倒の危険性がかなり軽減されました。
壁に暖簾
認知症の利用者さまがご自身の排泄物をオムツの入ったゴミ入れから取り出して触ってしまったことがありました。
また、利用者さまがその手でお部屋の白い壁を触り、壁が汚れてしまったので、壁の清掃作業が発生したことがありました。
今後同様のことが起きないように、オムツの入ったバケツの保管場所を見直しました。
また、壁を掃除させていただいた後にご家族と相談し、壁が白い部分には上から暖簾をかけて利用者さまが直接壁に触れないようにさせていただきました。
ポータブルトイレ
利用者さまの寝室に置いてあるポータブルトイレを誤って蹴ってしまい、中の排泄物をお部屋にこぼしてしまったことがありました。
まずお部屋のお掃除をさせていただいた後に、次回以降同じようなミスが起きないために、利用者さまのご自宅に到着したら、最初にポータブルトイレの掃除をするようにいたしました。
また、万一に備えてポータブルトイレ周辺に防水マットをひくことになりました。
トイレ内の転倒
歩行時に支えが必要なご利用者をトイレへ連れて行ったとき、他のご利用者に呼ばれてそばを離れてしまったことで、転倒させてしまったトラブルがありました。
トイレから離れるとき、手すりをしっかり握ることと、何かあったら緊急コールを使うようお伝えしましたが、立ち上がるときにふらついて転倒したそうです。
他のご利用者も介助が必要な場面ではあったのですが、やはりあの場は離れるべきではなかったと反省しました。
ただ、トイレはどうしても外で待ってて欲しい方もいるので、そのときはご自身で立ち上がる前にコールを押していただくよう、説明しています。
デイとの情報共有
下半身麻痺で車椅子が必要な、少し認知症のある利用者さんの自宅へ訪問したときに、排泄介助をしたときのお話です。
ご家族が同居しているのですが、留守になる時間帯もあるため、自力で排泄はできる方でしたが、いつもオムツを使っていました。
その日は、ご家族の留守中にオムツ内に排便してしまったようで、嫌悪感から手で掻いてしまい、洋服や布団まで大変な状態になっていました。
夕方から30分入る予定でしたが、片付けが終わらず、かといってそのまま帰ることもできないので、ご家族が帰るまで入浴や洗濯などの支援にサービスで入りました。
今回のトラブルで、ご家族がいない時間帯に一人で在宅で過ごすのは無理があるとご家族とケアマネで判断した結果、デイサービスを試すことになりました。
最初は本人の拒否がありましたが、週一から段々と慣らしていくと、徐々に楽しくなってきたようで、平日は毎日通うようにまでなりました。
やはり訪問介護だけでは支えきれないこともあるので、デイサービスとも情報交換して、利用者さんとご家族を支えていけるようなサービスを提供していくのが理想だと実感しました。
オムツ交換
オムツ交換をした後で尿もれをしたため、ご利用者さんの衣類やベッドのシーツまでびしょびしょにしてしまい、非常に不快感を与えてしまいました。
オムツ交換の技術がまだ未熟だったため、管理者から細かくやり方を教わりました。
それ以降、尿漏れなどのトラブルはなくなりました。
介護拒否の対処
排泄介助のトラブルは、寝たきりの要介護5よりも歩ける要介護1の方が大変です。
ご高齢となっても自尊心やプライドがあるため、洋服を脱ぐことに対して、介助に対しての拒否が強く、失禁していてもそれを認めようとしないからです。
上記のような介護拒否の方にはまずは信頼関係が大切です。
いきなり家に来た他人に介助されることは、普通の人であってもハードルが高いと思いますので、世間話やお孫さんの話などして「自分は仲間であることを認識」してもらい、「少しズボン汚れていませんか?」などと声をかけて対応していました。
排泄物が便座に
介助が下手で便座に上手く座って頂くことができなかったため、排泄物が便座についてしまいました。
便座はキレイに清掃した後、ご本人を深く傷つけてしまったことを謝罪したところ、優しい方ですべて許してくださいました。
体位変換
寝たきりのご利用者は、つねに身体が床に接触した状態で体重がかかっているため、皮膚が剥離してしまうことがあります。
寝たきりが原因で皮膚を傷つけてしまうことを、褥瘡(じょくそう)といいます。
ホームヘルパーの体位変換とは、おもに褥瘡防止を目的に、定期的に身体の体勢を変えることです。
他にも、着替えや食事、おむつ交換をするときにも、適切な体勢に変えることも、体位変換に当たります。
ここからは、実際にホームヘルパーが体位変換のときに失敗した体験談をシェアします。
体位変換の間隔
寝たきりのご利用者の自宅へ訪問して、いつも通りの時間に体位変換したら、腰に床ずれができていました。
ご家族からはお叱りを受けましたが、対処策として、これまでよりも短い間隔で体位変換をするようケアプランの変更をして、再発防止をする旨を伝えると、なんとか許していただけました。
人によって肌の弱さや肉の付き具合が違うため、体位変換の時間の判断はとても難しいですね。
声掛けの大切さ
褥瘡(じょくそう)防止のために、横になっているご利用者の体位変換をしたときに、声掛けはしましたが聞こえなかったようで、私の顔を見て「あんた誰?なにすん?」と言われてしまいました。
耳が遠い方だったようなので、体位変換のときはまず軽く肩を叩きながらやさしく声掛けするようにしたところ、驚かせることはなくなりました。
窒息の危険性
ほぼ寝たきりの認知症をお持ちの方にヘルパーとしてケアをしたとき、背中や膝・かかとなどにいくつかポジショニングクッションを当て、斜め45度程度に体位変換をしました。
体位変換をした後、他の仕事をしている途中にご利用者を見ると、うつ伏せになってしまっており、危うく窒息させてしまうところでした。
私の体位変換時のポジショニングクッションの当て方が悪く、膝に置くクッションがずれてしまったことが原因だったようです。
クッションの当て方を勉強しなおすとともに、命にかかわる仕事をしているんだという自覚を持つようになりました。
身体の拘縮
身体の拘縮(こうしゅく)がある利用者様だと、急に身体を動かすと関節に痛みを感じます。
介護の仕事を始めた頃は、知識がなかったので、急に動かしてしまって痛い思いをさせてしまったことがあります。
幸い大事には至りませんでしたが、今でも反省しています。
利用者様の身体状況の程度にもよりますが、やはり声かけの後には利用者様のペースに合わせてゆっくりも身体の向きなどを変えます。
必要に応じてマッサージ(さする程度)や、手足の曲げ伸ばしなどを行うと、なお良いです。
夜勤のときに
夜勤のとき、きまった時間ごとに寝たきりのご高齢者の体位変換を行っていました。
ご利用者はとてもよく眠っていたので、起こさないように声かけせずに体位変換をしようとしたら、急に目覚めて、驚かせてしまいました。
ご利用者は、私の顔をみると「いつもの職員だ」と分かりご安心されましたが、熟睡している方を起こしてまで声かけすべきかどうかは、今でも判断に迷うところです。
家庭用ゴミ袋
体格の良い男性の体位変換時に、側臥位(そくがい)にした後、腰を後ろに引くときに、なかなか身体が動かなかったので勢いをつけたところ、ズボンのポケット部分を破いてしまいました。
改善策としては、ツルツル滑るタイプの家庭用ゴミ袋を腰の下に敷いてからスライドさせるようにしました。
自宅にあるものでできるので持ち込みしなくても良いので、オススメです。
現場検証
ALS(筋萎縮性側索硬化症)の利用者さんの体位交換を勢いよくやってしまった反動で、動いた前腕がサイドレールに接触してしまいました。
患部は内出血してしまい、私からきちんと声かけしなかったミスをご家族から叱責されて、クレームに発展しました。
その後、上司と一緒に自宅を訪問してお詫びをした後、ご家族にお願いして、利用者さん本人と現場検証した上で介護指導を受けました。
対応には納得をいただき、私はその後も訪問し続けることができました。
移乗介助
片マヒなどのあるご利用者は、たった2、3歩先にあるポータブルトイレや車イスへ乗るだけでも介助を必要とします。
このとき、介護のボディメカニクス(身体力学を活用した介護技術)を使って行うのが、移乗介助です。
ここからは、実際にホームヘルパーが移乗介助をしたときに失敗した体験談をシェアします。
看護士さんと
看護士さんと2人でパーキンソン病の方の入浴介助をする機会がありました。
車イスへの移乗介助をするとき、看護士さんとタイミングが合わず、ご利用者はどっちに合わせたらいいのか、困惑していました。
シャワーチェアへ移るときも時間が掛かり、身体を冷やしてしまったことでも、ご負担をかけてしまいました。
何度も2人体制で繰り返すうち、タイミングは徐々に合ってきたので、解決はしました。
ただ、今回のことをきっかけに、問題が起こったときすぐに看護士さんと相談しあえる関係性が少しずつできてきました。
看護士と介護士は、お互いの理念や方針の違いがありますが、お互いに歩み寄って、「報・連・相」を徹底していけば、大きな事故を防ぐこともできる、その大切さを学びました。
車いすのブレーキ
ご利用者の自宅でベッドから車イスへ移乗介助をしたとき、ご利用者を立ち上がらせた段階で車イスにブレーキがかかっていないことに気が付いたため、慌ててしまいバランスを崩しました。
ご利用者にケガはなく、何とかベッドへ戻ってもらえたのは幸いでしたが、自分は腰痛を起こしてしまいました。
テレビのコード
ご利用者の自宅でベッドから車イスへ移乗介助をしたとき、テレビのコードが足にもつれてしまい、危うく転倒してケガをさせてしまうところでした。
テレビのコードが乱雑に床に広がっていた環境を事前に確認していなかったことが原因で起こったトラブルでした。
作業を行う前は、安全なスペースの確保をするよう改善をしました。
トランスファーボード
食事のとき、特殊寝台から車イスへ移乗している最中、フットレストにご利用者さんのすねをぶつけてしまいケガをさせてしまいました。
本来は福祉用具の「トランスファーボード」を利用するべきでしたが、私の過信から利用せず移乗させてしまったことで起きた事故でした。
管理者に報告後、こちら側の負担で病院受診をしていただきました。ご本人とご家族に謝罪し、ヘルパーとして決められた事項を守らなかったことを反省しました。
以後、自分を過信せず、安全第一を考えてケアするようになりました。
エアマットレス
寝たきりの要介護者の方をベッドから車イスへ移乗するとき、いつも通りに身体を起こし端座位(たんざい)の姿勢にしたところ、体勢を維持できずにベッドの下に滑り落ち、尻もちをつかせてしまいました。
今まではベッドのマットレスは普通タイプのものでしたが、私がヘルパーとして入る数日前からエアマットに交換していたそうです。
エアマットにはカバーが敷いてあるので、マットレスが変更されていたことに気がつかず、私がいつもどおりに身体を起こしたらエアマットの端が沈み込んだことで、滑り落ちてしまったのでした。
幸い、ケガはありませんでしたが、私の不注意で起きた事故でしたので、以後はしっかりと要介護者の様子や周りの環境を観察するようになりました。
二人一組で移乗
車イスへ移乗するとき、私のチカラではどうしても難しく、ご利用者が車イスから落ちてしまったことがあります。
幸いにも大したケガはなかったのですが、ご利用者から私への信頼はなくなってしまいました。
改善策として、その後は、二人一組で行うようにしたところ、問題なく移乗はできています。
ぎっくり腰に!
大柄な男性をベッドから車イスへ移乗するとき、ギックリ腰をやってしまい、ケアの継続が無理となったので応援を呼びました。
まったく予想しないトラブルで焦りました。
静養をとって身体が回復してからは、腹筋と背筋を鍛えて筋力アップを図り、あらためてボディメカニクスの原点に立ち返って、腰を沈めて負荷がかからない体勢で移乗介助するよう改善したところ、以来一度もぎっくり腰はやっていません。
移動介助
移動介助とは、おもに足腰の弱った方や、杖歩行の方を補助することや、車イスの自力移動ができない方の補助をすることです。
ここからは、実際にホームヘルパーが移動介助をしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
その日の体調をみる
背の高い95歳男性のご利用者は、杖を使えば足が少しふらつくものの、手を支えれば自力で散歩のできる方でした。
ある日、体調がすぐれない日に、それでも散歩に行きたいとおっしゃられたので同行したのですが、自宅近くの浜辺を歩いていたので歩きづらく、転倒しそうな場面もあったので、結局引き返しました。
上記の件があってから、移動介助のとき、ご利用者の体調が優れないときは、「なるべく今日は安静にしていましょう」と声掛けをするようにしています。
ご利用者の意思や尊厳は第一ですが、ヘルパーとして「いつもより調子が悪い」と思ったら、やはり無理をさせるべきではないと考えています。
車イスの事故
ホームヘルパー、サービス提供責任者(※以下、サ責)を経て、今はケアマネジャー(※以下、ケアマネ)の仕事をしています。
サ責のころ、初心者のホームヘルパーを同行させて、車イスの移動介助をしていました。
事前にしっかりと介助方法を指示しないまま移動させてしまった結果、車イスが段差につっかかり前のめりに利用者様を転ばせてしまった事故を起こしました。
すぐに会社に連絡後、責任者の指示により、整形外科でレントゲン等検査を一通り行った結果、幸いにケガはありませんでした。
後日、改めて責任者とともに謝罪へ伺い、改善策として、今後は初心者ヘルパーの教育体制を徹底すること、今後万が一身体に異変があれば、再受診に同行させていただくことを伝えご理解いただけました。
歩行器介助中に
歩行器での移動中に、本来であれば後ろから支えるように付き添うべきだったのですが、歩行状態が安定しているご利用者だったので、斜め前から引くような介助を行っていました。
最初は普通に歩いていましたが、少しの段差を越えようとしたときに、利用者がバランスを崩してしまい、尻もち転倒させてしまいました。
転倒後、痛みや外傷が無いか確認後、「腰が痛い」とおっしゃったので、病院を受診し、レントゲンを撮ってもらいました。
幸い骨折はなく、しばらく湿布を貼って治療することとなり、1~2日で痛みも引いて、歩行可能になりました。
もちろん、ご家族にも謝罪しました。
車イス移動中のリスク
車イスの移動介助をしていたとき、ご利用者は自走できない方だったので、後ろから押していたときのことです。
ご利用者は認知症だったため、急に壁に向かって手を伸ばされました。
幸い、手が壁に激突することはなく、無事でした。
まず、ご利用者に「急に手を伸ばすと危ない」とご説明しました。
今後の対策としては、声掛けをしてから動き出すこと、スピードを出し過ぎないこと、壁などの障害物からなるべく離れて移動することを意識して、介助をしています。
目の不自由な方
私が担当していたご利用者は目の不自由な方でした。
当時、まだ経験が浅く、初めて目の不自由な方の担当になった私は、ご利用者の方から私をリードしてくれたことで、何とか仕事はそつなくこなせていました。
ある日、(言い訳にはなりませんが)家族のことで疲れていた私は、掃除機を所定の場所ではないところに置いてしまい、ご利用者を転ばしてしまう大失敗を犯してしまいました。
目の不自由な方のサポートで、絶対にしてはならないことでした。
幸い、ご利用者はゆっくり歩いていたため、ヒザの軽い擦りキズくらいで、大事には至らずに済みました。
カートへ激突!
ガイドヘルパーとして、ご利用者と2人でたくさんのテナントが入ったショッピングセンターへ出かけました。
日曜日とあって、小さなお子さんを連れた家族連れでとても賑わっていて、この日が初めて2人で外出した日だったので、お互いに緊張が走り、まだ意志の疎通も図れず必至でした。
なんとか午前中はお店を回れて、お昼も済ませて一息ついた後、また店内を散策していたときにトラブルが起こりました。
前方から、前を見ずに大きなカートを押しながら歩いてきたお客さんと接触事故を起こして、ご利用者は幸い無事でしたが、私は足首を強くひねって歩けなくなってしまいました。
すぐに事業所へ報告とヘルプを要請すると、交代のヘルパーさんが来てくれたので、ご利用者の移動には支障ありませんでした。
人材不足のこの業界、今回のような事態でも一人で対応を余儀なくされることもあるでしょうから、事故には本当に気を付けるべきですね。
車イスからの転落
便秘気味で座薬を挿すと不快感から姿勢が崩れやすくなる特性のある、車イスの利用者さんの、移動介助をしていたときの事故です。
前述の特性を把握していなかったため、ベッドから車イスに移乗した後、目を離したスキに姿勢が崩れて前傾になり、そのまま車イスから転落してしまいました。
幸いにも擦りキズ程度で済んだため、ご家族への謝罪と、応急処置だけで経過観察となりました。
今後の対策としては、ご利用者一人一人の特性をしっかり把握して、リスクを踏まえて常に危険予測をしながら行動するよう徹底しています。
打撲事故
両下肢のこう縮によって、車イスのフットサポートからすぐ足が落ちてしまう、アルツハイマー型認知症の方の移動介助をしていたときの話です。
移動中にフットサポートから左足が落ちていたことに気づかず、そのまま引きずるように前進していたため、左足の指の付け根付近に広範囲の打撲をさせてしまいました。
実は、以前からフットサポートに足が固定されない危険性が指摘されており、私も注意して車イスを押していましたが、具体的な改善策がとられないまま事故に至ってしまいました。
再発防止策として、車イスを本人の体格にあったものに変えて、シーティングを見直したところ、姿勢が崩れることはなくなりました。
通院・外出介助
お一人では移動が困難なご利用者と一緒に、外出同行することを、介護用語で通院・外出介助といいます。
おもに、病院への付き添いや日用品の買い物など、生活にかかわる項目において、ヘルパーのサポートを提供します。
ここからは、実際にホームヘルパーが通院・外出介助をしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
杖歩行の事故
通院介助のとき、利用者さまが病院の玄関マットにご自身の杖を引っ掛けてしまい、支えようとして手を出しましたが間に合わず、転倒事故を起こしました。
利用者さまは腰を強く打ってしまい、動けなくなってしまいました。
幸い場所が病院だったので、すぐに病院スタッフが車イスの準備や、診察・検査まで対応を迅速にしていただけました。
事故の経緯をご家族に電話で報告・謝罪をしたところ、「対応内容に問題はない」とご納得いただくことができましたが、今後は利用者さまだけでなく、杖に引っかかるような場所を目視で必ず確認するよう徹底しています。
病院の待合室
耳が遠く、発話もほぼしないご利用者の病院の付き添いをしていたとき、私がご利用者の名前を覚えておらず、受付から呼ばれてることに気づかず、長い時間待たせてしまったことがありました。
お名前を事前にしっかり覚えることもそうですが、日ごろの疲労からか待合室でついウトウトとしてしまうことも反省材料です。
ともかく、栄養ドリンクやコーヒーを流し込んで、気合を入れて対応するよう改善しました。
病院の待ち時間
通院介助は介護保険上、病院までの行き来のみで、院内での介助や待ち時間などは算定できないことになっています。
ただ実際には、車イスで認知症の方を病院にそのまま置いてくることはできず、院内の付き添いまでサービスとしてしてるんですね。
あるとき、病院で急患が入ったことで、待ち時間が想定以上に長くなったことがあって、私の次の訪問先の時間に間に合わなくなってしまい、事業所へ電話報告を入れました。
他のヘルパーが入ってくれることになり、一旦は解決しましたが、このトラブルはその後も度々起きたので、事業所内で話し合いをしました。
まず最初に、本件は算定の方法に問題があるとして、自治体に問題提起しましたが、介護保険全体の問題になってくるので、なかなかすぐに改定は難しいと返答されました。
利用者さんには申し訳ないのですが、通院する病院を予約のできる個人病院に変更いただくことになりました。
予約制ですから、時間の問題は解決できたのですが、長年通った病院を変えることは利用者さんにとっては利益にはならず事業所都合なので、なんとなく罪悪感が残った出来事でしたね。
車中の圧迫骨折
車で病院の付き添いをする担当ご利用者の方が、いつも座席に座るときに「ドーン!」と勢いよく腰を下ろす癖がありました。
あるとき、「腰が痛くてしょうがない」と言われたので、病院で受診したところ、これまで蓄積された衝撃が原因で圧迫骨折をしてしまっていました。
ご高齢になると骨がもろくなるので、車へ乗るときも細心の注意がいることを学びました。
座席に腰を下ろすときは、声掛けをしながら手で身体を支えて、ゆっくり腰を下ろすよう徹底しています。
車イスの買い物
車イスのご利用者を担当したとき、買い物同行をする機会がありました。
車イスだから不便だろうと思い、店内で「あれはどうか、これはどうか」と商品を見る度に口を出したり、商品を直に持ってきて渡してみたりしていたら、「自分で探せる。あれこれうるさいから黙っといてくれ」と憤慨されたことがあります。
良かれと思ってやったことでしたが、まだご利用者との関係ができていないまま踏み込み過ぎてしまったのかなと反省しています。
この一件以来、言われたことだけをやるようにしています。
下りの玄関ポーチ
私の担当するご利用者は、車イスに乗ったまま玄関ポーチ(※玄関の上に突き出た庇(ひさし)の下の部分のこと)を上り下りしていました。
玄関ポーチは20センチほどの段差が2段あり、以前から危ないとは思っていましたが、ある日の外出支援のとき、玄関ポーチを降りる際に車イスごと前のめりに転倒してしまいました。
ご利用者にケガはありませんでしたが、今後も起こりうる事故でしたので、ケアマネジャーに報告をした結果、玄関ポーチにレンタルのスロープを置くことになりました。
おかげで毎回スムーズな昇降を行なえるようになりました。
徘徊に注意
認知症とせん妄がある方の通院介助のときに、ご本人は道を覚えておられないので、ヘルパーは病院までの道のりをきちんと把握していないといけないんですね。
通院介助当日、私も初めて行く病院だったので、道が分からなく当日に慌てて調べてしまったことがありました。
結果的には、迷わず到着できたのですが、事前に調べておいた方が、ご利用者を不安にさせずに済みますね。
今回のケースは、すぐに道が分かったので良かったですが、私が対応している隙にはぐれてしまう(※徘徊のある方でした)など、大きなトラブルに発展する可能性もありました。
この件以降は、病院内や病院から車までの移動をするときも、目を離さず細心の注意で見守りをしています。
忘れ物注意!
病院への付き添いをするとき、身支度のできるご利用者だったのですが、病院到着後に診察券やサイフなどすべて忘れていたことに気づきました。
幸い、自宅は近かったので、取りに戻って受診もできました。
本件は、ごく単純で些細なトラブルですが、外出援助のときはけっこう忘れ物をする方が多いです。
「しっかりされている方」と思っていても、出発前には一度持ち物の確認をしておくことをオススメします。
たんの吸引や経管栄養
たんの吸引や経管栄養の処置については、平成24年度の法改正により、喀痰(かくたん)吸引等研修の修了者であり、かつ在籍する事業者が「登録事業者(登録喀痰吸引等事業者・登録特定行為事業者)」となることが必要です。
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もともとは、看護士が担当していた医療行為にあたるため、簡単な処置ではありません。
ここからは、実際にホームヘルパーがたんの吸引や経管栄養をしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
うまくチューブが通らない
経管栄養は喉と鼻の境目の、敏感な部分に管を通さないといけないので、利用者様の協力が必要不可欠です。
慣れない頃は余裕がなく、声かけをせずに行っていたため、なかなかうまく入らなかったことが多々ありました。
咽頭(いんとう)部を通すときに「ごっくんしてもらえますか?」などと声をかけると、スムーズにチューブを入れやすく、負担は減ると思います。
処置を拒否されるご利用者も
ご利用者は、たんの吸引は苦しいので、認知機能が落ちていたりすると、管を噛んでしまったり、口を閉じられてしまい処置を拒否されるケースがあります。
人の口の中というのはとても繊細で敏感な器官ですから、口腔内を湿らせたり、口のケアなどでご利用者が「気持ち良い」と思えることを、吸引前にしてあげると拒否が軽減されることがあります。
吸引に手間どってしまう
たんの吸引経験がまだあまりなかったころ、管を奥まで入れすぎてしまい、思うように吸引ができずに時間をかけてしまったことで、ご利用者に苦しい思いをさせてしまいました。
ご利用者を苦しませずに処置するには、管をおさえて吸引していない状態を作り出して、適切な位置まで移動させてから吸引するとやりやすいです。
たんの吸引処置のコツは、とにかく経験を積むしかありません。
鼻腔内から出血
たんの吸引は、鼻腔の狭い人は鼻出血をさせてしまうことがあります。
鼻出血はよくあることですが、出血を見た家族がびっくりしてクレームをいただくこともあります。
たん吸引で失敗しないコツは、チューブをよく濡らすことと、古いものや冷たいところに置いていたものは使わず、新しく柔らかいものを使うことだと思います。
窒息寸前の事故
入社したてで慣れないころ、たんの吸引処置を要することがありました。
ご利用者が上を向いた状態で吸引してしまい、ついていた先輩から「たんがつまったらどうするんだ!」と叱られました。
たん吸引は、上を向いた状態だと痰が詰まって呼吸困難になるリスクがあるため、横を向かせた状態で行います。
横向きならご利用者の顔色などを確認できますし、できる方ならムセてもらうことで、たんが上まで上がってくるので吸引しやすいです。
チューブが外れてしまった
経管栄養中、利用者さんが腕を動かしたときに、経管栄養のチューブに引っかかって外れてしまい、利用者さんを栄養剤まみれにさせてしまった失敗がありました。
それ以降、チューブの接続をしっかり確認することと、栄養中に利用者さんが腕を組んで動かしてもひっかからないチューブの配置にするようにしました。
冷えた栄養剤を使用
障害者向けのデイサービスでは、気管切除に伴い食事を飲み込むことができなくなり、胃ろうに切り替えられた利用者さんが複数人おられます。
その方たちにも他の方となるべく同じ食事の時間に提供しているので、食事の準備が慌ただしくなってしまいます。
その結果、本来は一肌程度に加熱して投与すべき栄養剤ざいを冷えた状態で投与してしまったことがありました。
幸い、気候の穏やかな時期で体温の低下に至りませんでしたが、もし、体温調整の難しい方だったら、かなり危険な状態になっていたかもしれません。
この失敗があってから、複数のスタッフでクロスチェックをしてから投与することになりました。
生活援助
家事援助とは、ご利用者やそのご家族ができない家事をサポートするお仕事です。
家事援助に該当するお仕事は、主に「調理・配膳」「掃除」「洗濯」「ゴミ出し」「買い物代行」「服の補修」「部屋の片づけ・整理整頓」「薬の受け取り」があります。
調理・配膳
生活援助の「調理・配膳」とは、自力で食事を作ったり、準備ができないご利用者を支援することです。
ご高齢の方は、味覚や嗅覚が衰えているので、自然と味の濃い料理を好むようになったり、料理のニオイを嗅いで「おいしそう」と感じる機会が減ったりします。
ホームヘルパーの調理支援では、料理の味の濃さを程よく調整することや、食欲をそそる盛り付けや見た目を工夫するスキルが重宝されます。
また、誤嚥や胃もたれ防止に食材を小さく切り分けたり、あんかけ等のとろみを使った調理方法も大切です。
ご高齢になると、歯やアゴの力が弱って咀嚼(そしゃく)機能が低下するため、ご利用者にあった硬さの食材を提供する工夫も必要になりますね。
良くあるトラブル事例としては、ご利用者のご家族分まで調理を依頼されることですが、介護保険サービスの調理は、ご利用者ご本人分の支援しかやってはいけないルールです。
ヘルパーの調理支援について、詳細は下記の記事もご参考になさってください。
ここからは、実際にホームヘルパーが「調理・配膳」の支援をしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
献立のレパートリー
月曜から金曜までの5日間、朝食の調理を提供する方の担当していたとき、ほぼ毎日同じような献立は飽きてしまうから、レパートリーを増やしてほしいとおっしゃったことがありました。
私は、3日間の朝食調理を担当していましたが、他ヘルパーの献立と被ってしまっていることが後で分かりました。
月に一度のスタッフ会議で提案された解決方法は、担当のホームヘルパーが必ず前回サービス提供時の食事メニュー内容を記録簿で確認してから調理を開始することになりました。
また、訪問時には、レパートリーが増やせるよう冷蔵庫の食材も必ず確認することや、ご利用者一人でも調理不要で食べられる菓子パンなどのストックを常に切らさないように、買い物支援サービス担当のヘルパーに、必要な食品を記録簿に記入して申し送りすることで、ヘルパー全員で協力して対応した結果、解決することが出来ました。
おつまみは支援外
ご利用者のご家族が同居している訪問先で、とくに男性のご家族から、ご自分が食べたいお酒のつまみに合う料理をリクエストされることがあります。
ご利用者本人が食べ切れない分をご家族に分けるのは仕方ないと思っていましたが、最初からご家族専用に別メニューを作るなら、それは家政婦のサービスですよね。
介護保険の適用外だからできないとご説明してお断りすると、当時私がまだ20代の若手だったからか、逆ギレされてしまうこともあって、訪問するのがイヤでした。
そのご家族は、私のような若いホームヘルパーに対しては口の利き方が悪かったらしく、訪問介護事業所のリーダーに相談したところ、そのお宅には私を含めて若いホームヘルパーを配置しないようにシフトを工夫していました。
その後、リーダーやケアマネが訪問して、ご家族も含めて介護保険についてもう一度きちんとご説明した上で、守れなかった場合にはサービスを受けられなくなることもあるとお伝えところ、ご納得されたようで、以降は家族分の調理を依頼してくることはなくなったそうです。
味見の重要性
あるご利用者宅で調理を担当していたとき、見た目や栄養バランスばかりに気を取られて、味付けがお好みではなかった理由から、食欲不振によって日を追うごとに体重が減ってしまい、ご家族からクレームを受けたことがありました。
この経験から、調理に入る前に献立や手順を紙に書いて、イメージをするようになりました。
味付けに関しては、台所にある調味料の確認と、調理後の味見を徹底することで、ご利用者に食欲と笑顔が戻ったので、とても良い経験を積むことができました。
食材の破棄
ある利用者のお宅に訪問した時のことです。
キッチンがあるお部屋のテーブルの上に、明らかに腐ってる食材を発見しました。
そのお宅では調理援助だけでは支援しきれなかったため、宅配サービスのお弁当もご利用されていたのですが、以前には残したお弁当が腐っていたこともあったため、その場合は家の方の許可を得て廃棄していました。
「今回も腐っているんだからいいだろう」と確認せずに廃棄したところ「腐ってなんていなかった。あれは調理するためのとっておいたのに。」と事業所へ苦情が入りました。
すぐに事業所の管理者と共にお宅を訪問し、まず謝罪を行いました。
そして、「食材が腐っていたように見えたので廃棄してしまったこと」「今度から、廃棄するときには必ず許可を得ること」を約束しました。
「(おたくの事業所も、ヘルパーさんのことも)信頼はしているんだよ。でも時々、自分でも買ってきているものを忘れたり、買ってきておいても調理したり食べることを忘れてしまったりして、後から思い出すことがあるんだ。今回も、思い出してみてみたら無かったものだから。疑って悪かったね。」と穏便に収めてくれました。
他ヘルパーへクレーム
私がサービスに入っていたご利用者さんの調理支援に、私以外にも一人ヘルパーが入っていました。
ある日、ご利用者さんが私に「あなたはもう一人のヘルパーさんに比べて料理が下手だからもう来てほしくない」と言われ、とてもショックを受けました。
事業所に帰り、もう一人のヘルパーに話をきくと、「あなたの味付けは少し濃いと言っていたのを前に聞いたことがある」と言われました。
次の調理では味を少し薄めにすると、「あら、今日は美味しい」とにこやかに食べていただきました。
ご利用者さんには「何か要望があれば遠慮なくおっしゃってくださいね」と伝えましたが、一番大切なことは、事業所内でもっと細かく情報を共有していくことだと思いました。
無断の外出支援
ある暖かい日の午後。いつものように団地の3階に住む90歳の女性ご利用者宅へ家事支援に入りました。
調理しようと食べたいものをうかがうと、「下に来ている移動販売の焼き鳥が食べたい」とおっしゃるので、私が買いに行こうとすると「天気がいいから一緒に行きたい」とおっしゃるんですね。
自力歩行ができない方で、しかもその団地にはエレベーターがないため、ほとんど外出する機会がなかったからこその願望でした。
私はどうにか連れ出し、ゆっくりと階段を一緒に下りて、焼き鳥を購入することができました。
帰りには、団地の花壇に咲いていた花を一輪摘んだのが、とてもうれしかったのでしょう、他のヘルパーに話したそうです。
当然、サ責の耳に入り、ケアプランにないことをしたと大問題になってしまいました。
事業所内での大カンファレンスが開かれて、結論としては「やってあげたいのはやまやまだが、ケアプランにないことはしてはいけない」でした。
そのご利用者が、「外出」を依頼したのは後にも先にもこれが初めてでしたが、サ責や管理者、ケアマネと謝罪をすると共に、ご本人にも今後は外出依頼をしないでほしいとお話しました。
確かに、他のヘルパーにも依頼したり、移動中の事故が起きたときを考えると、軽はずみなことをしてしまったと反省しております…
認知症の誤った注文
認知症をお持ちの利用者さまが、ご自身で生協の宅配を利用されていたのですが、購入する食材の量が非常に多く、使い切ることができない状態が続いていました。
しかも、同じ食材を何度も購入されており、台所が非常に汚れていました。
対応策として、週一回娘さんが来たときに、一緒に注文用紙を書くようにされたところ、適切な食材料になり、ご希望の料理を調理できるようになりました。
誤嚥トラブル
噛む力が弱く、何でも飲み込むように召し上がってしまう利用者さまにサイコロ状のお豆腐の入ったお味噌汁の調理をしたところ、お豆腐のサイズが大きすぎたため、飲み込んだときにむせ込んでしまいました。
この失敗をしてから、お豆腐を含めて食材は小さく切ることに一層気を付けるようになりました。
ご家族分の食事
旦那さんが自営業をされている、70代奥様の調理支援に入っているお宅で、「妻の食事を作るついでに、私(旦那さん)の食事も作ってほしい」と要望をいただきました。
旦那さんは、奥様と同じく70代で障害などもなく、介護サービスも該当しない方なので、当然お断りしたのですが、「妻の介護と仕事の両立でとても忙しいから、ついでに食事も二人分作ってくれないか」と強く要求されたのです。
奥様は、調理支援だけでなく、排せつや入浴・移動など日常生活動作すべてに介助を必要とされており、旦那さんは日中はお仕事、仕事以外は朝から晩まで妻の介護に疲れ果てている状況なので、SOSを発していたわけです。
SOSを受けたサ責から、「ホームヘルパーが、利用者(奥様)の食事を多めに調理するようにして、あまった料理を冷蔵庫にしまっておく」とアイディアを出して対応したところ、(グレーな方法だとは思いますが)無事に解決となりました。
掃除
ホームヘルパーの生活援助に含まれる「掃除」は、要介護認定を受けたご利用者ができない範囲を代行することです。
ホームヘルパーができる「掃除」の範囲はどこまで?
ホームヘルパーとして掃除してもOKとされる範囲は、ご利用者の使用する居室のみとされており、大掃除にあたる窓ふきや草取りなどは、NGです。
現状は自治体ごとにルールを定めているため、掃除の範囲の線引きは非常にあいまいであり、さまざまな問題を引き起こしています。
問題が起きるパターンとしては、主に以下の3つがあります。
- ご利用者から頼まれてつい契約外の場所の掃除をやってしまった
- ご利用者の手が行き届かない場所がどうしても気になり、善意で掃除をしてしまった
- ご利用者のご自宅にある家具などを破損させてしまった
まず、掃除の範囲については、明確なルールはないに等しいので、ご利用者のご自宅環境によって細かく決めていくしかないのが現状です。
次に、ご利用者から強く頼まれたり、つい善意で契約外の掃除をしたことが発覚するタイミングは、主に他のヘルパーが入ったときです。
「ヘルパーAはやってくれたのに、なんでヘルパーBはやってくれないんだ」となるわけですね。
また、ご利用者一人一人によって掃除のやり方やこだわりが違ってくるため、善意で契約外の場所を掃除したら「そこはお願いしていない!」と怒られることもあります。
最後に、ご自宅の家具や壁などを破損させる原因となるのが、掃除機がけです。
コードを引っかけて家具を倒してしまったり、時間がないからと焦って壁に掃除機をガンガンぶつけてしまうと、ご利用者も決して良い気はしないでしょう。
破損事故が起こった場合、ヘルパーに過失があり、かつご利用者から請求があった場合に、事業者が加入している賠償保険によって、保険金が支払われることになります。
問題が起こったらその都度解決に向けて話し合う
ホームヘルパーへの苦情でもっとも多いのが「掃除」に関する内容です。
ご利用者から事業所へクレームがきたら、事業所のケアマネやサ責から伝達、話し合い、場合によっては指導を受けることになるでしょう。
ホームヘルパーの立ち位置上、ケアマネやサ責とご利用者の間で板挟みにあう性質があります。
ご利用者からは、まるで掃除専門業者や家政婦のように扱われることがもっともツラいところです。
ホームヘルパーとご利用者の間で解決しそうなら良いですが、ご利用者の不満が解消できないとなれば、ケアマネやサ責、他のホームヘルパーとケアカンファレンス(※医療関係者の会議のこと)による情報交換を行い、ご利用者のご家族に改めてケアプランの説明や介護保険の禁止事項を伝えて、改善に向かいます。
ここからは、実際にホームヘルパーが訪問先で掃除をしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
雑巾がけの失敗
利用者様は、築年数の古い庭付きの戸建て住宅で生活されていました。
縁側の廊下を拭き掃除してほしいと言われ、雑巾にたっぷり水を含んで廊下を拭いたところ、「そんな拭き方したら、水でびしょびしょに濡れて、廊下の板が腐るだろ!」と叱られてしまいました。
私は慌てて、別のきれいな雑巾を持ち出して、水で濡れてしまった部分を懸命に拭きました。
何度も何度も拭いたところ、なんとか廊下から水気がなくなり、むしろツヤがでました。
それを見て利用者様が「見ろ、一生懸命何度も磨くと、廊下っていうのはツヤが出るんだぞ」と一転して上機嫌になられて解決しました。
怒鳴られたときはヒヤヒヤしましたが、ホッとしました。
障子を破いてしまった
利用者さまから畳の乾拭きを依頼されたときに、腹ばいになって雑巾掛けをしていたときに、誤って障子を腕で破いてしまったことがあります。
普段は使われていないお部屋とのことでしたが、障子の張り替えを利用さまより依頼されました。
障子を全面的に張り替える時間がなかったため、桜の花びら型に切った障子紙で穴の部分だけ塞ぐ対応をしました。
利用者さまに確認を依頼すると、ご実家でお母様が同様に障子の穴を塞がれていたことを思い出されて、思い出話しとともに許していただけました。
一貫した対応が大切
キッチンやベッドの周辺を掃除したときに、リビングの窓拭きを頼まれました。
窓拭きは仕事の範囲外だったので、お断りしたのですが、「そのくらいの事なんでできないんだ!人でなしか!」と怒らせてしまいました。
後日、サ責から掃除できる範囲について、再度説明してもらいました。
人情的には、やってしまいたくなる場面でしたが、一度やればずっと継続しなければなりませんし、他のヘルパーにも同様に依頼するでしょうから、個人の勝手な判断はしない方が無難ですね。
掃除機がけ
訪問先で掃除機がけをしていたとき、あまりにも床に物が散らかっていたため、アクセサリーなどの細かいものまで掃除機で吸い込んでしまいました。
すぐ気づいて掃除機を開けて中身を取り出したのですが、ゴミに埋もれて汚れていました。
中身はキレイに洗ってご利用者に返したところ、クレームには発展しませんでした。
今後の対策としては、掃除機をかける前に散らばったものはある程度どかすよう改善をしました。
掃除NG?
訪問先の掃除で困ったことは、ご利用者のその日の気分によって、掃除をして欲しくないスペースがコロコロ変わることです。
掃除NGのスペースは、台所やソファー、リビングテーブルだったりと、とにかく掃除してみないとわからないし、NGスペースを掃除したときは、スゴク怒られるので大変でしたよ(-_-;)。
対応としては、ご利用者の顔色を見つつ細心の注意を払いながら、目を離したスキに一気に掃除をするしかありませんでした。
多頭飼育崩壊の現場
私が担当した独居の女性ご利用者は、10匹ほどの猫と暮らす多頭飼育崩壊(※ペットの去勢・避妊手術をしないまま繁殖を繰り返して、世話ができなくなった状態のこと)したご自宅でした。
家の床は糞尿だらけで、床一面に新聞紙を敷いている状態で、畳の下の板まで腐食していて、マスクをしても臭いがキツく辛かったです。
新聞紙の交換時、床が抜けて穴が空きましたが、弁済請求はなく、畳や板ごと新しいものに交換することになりました。
今後は動物の飼育はしないことを条件に同じお宅で働かせてもらっていますが、現在は掃除がスムーズに進むのでとても助かりますね。
掃除する範囲
訪問先で掃除をするとき、ご利用者の生活範囲外の窓ふきをいつも頼まれる方がいるので、どうやってイヤな思いをさせないようお断りするかを考えていました。
お断りすると、「他のヘルパーはやってくれた」と言われてしまえば、それ以上言葉が出てこないんですよね。
対応策としては、事業所へ戻ったときに訪問先でヒアリングした内容を、こまめに他のヘルパーと情報共有しながら、どこまでの範囲でサービスを提供するのか、意志の統一化を図っていました。
障子が破けていた
訪問先で掃除中に、障子の端のところが破けているのを発見しましたが、いつ誰が破いたか分からず、どうしようか迷いました。
身に覚えがないとはいえ、破けているのは事実ですし、私がやった可能性もゼロではないと思い、一応謝罪をして帰りました。
謝罪後、ご自宅で犬を室内飼いしていたことからも、「やっぱり、私じゃないよね…?」とモヤモヤしてしまいましたが、ご利用者との信頼関係はもともと強かったので、とくに大きなクレームに発展することはありませんでした。
今後の対策としては、掃除をする前にモノを壊さないよう整理整頓を徹底していきたいと思います。
掃除機の故障
訪問先でお借りする掃除機がかなり年代物だったのですが、気にせず普通に使っていたら、壁にゴツンと当ててしまっただけで、ヘッドにヒビが入って壊してしまいました。
どんなに古いものでも、ご利用者は大切にされていることもあるので、丁寧な取り扱いをするよう、心がけています。
マットの外干し
ケアプラン上はご利用者と一緒に掃除することになっていましたが、ご利用者は玄関マットやキッチンマットをどかして掃除をするのがとてもおっくうだったようで、なかなか動いてくれませんでした。
ふと、天気のいい日に、「外にマットを干しましょう」と提案してやってみると、一気にやる気が出たようで、玄関もキッチンも掃除できるようになりました。
庭の掃除
大きなお庭のあるご利用者宅にて、となりの家に迷惑がかかっているから庭の木の落ち葉を掃いて欲しいとご依頼を受けましたが、庭以外の部分(家の前の道など)はどこまで掃けばよいのか分からず困ったことがあります。
また、落ち葉の分別は、町内によって異なるため判断に迷いました。
ゴミの分別に関しては、インターネットで調べることで解決しました。
掃除範囲に関しては、庭と家の前の道、道の側溝や吹き溜まりに溜まった落ち葉を掃除して、掃除後の様子をスマホで撮影して見せたところ、ご利用者に納得いただくことで解決しました。
洗濯
生活援助にあたる「洗濯」とは、訪問先でご利用者の衣類を洗濯することです。
ご高齢になると、腕が上がらない等の理由から、洗濯物を干すだけでも重労働なのです。
ケアプランによっては、近所のコインランドリーを使って洗濯を任されたり、カーテンや毛布など家具や寝具を洗濯するケースもあります。
ここからは、実際にホームヘルパーが訪問先で洗濯をしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
ズボンのポケット
訪問先で洗濯をしていたある日、洗濯物の中にお札が入っていたことに気づかず、シワクチャになってしまいました。
ちょうどその場面をご利用者さんが見ており、不快感を覚えられたようで「ちゃんとポケットも確認できないならもう来なくていいです」と言われてしまいました。
管理者に報告後、お札を交換して謝罪をしたところ、ご利用者さんは「わかりました。これからは気をつけてくださいね」と許してくれました。
今回は、交換が可能なお札だから良かったものの、洗濯前の確認をしっかりしなければと思いました。
服が破けた?
衣服の洗濯をお願いされて、洗濯が終わってからベランダに干して乾かそうとしていると、「シャツ破けているんだけど、どうしてくれるの?」と言われたことがありました。
私はとくに思い当たるフシもなかったのですが、「責任者に電話して対応してもらうわ」と言われました。
大事になったら困るので、詳細を確認したところ、背中が広く開いているシャツを破けていると見間違えただけでした。
「こういうデザインですよ」と説明したら納得されたようで、ことなきを得ました。
洗剤?柔軟剤?
利用者さまのご自宅の洗濯洗剤が透明のプラスチック容器に詰め替えられており、洗剤なのか柔軟剤なのか判断がつかなかったことがありました。
利用者さまは若干の認知症があるため、伺っても明確な回答を得られませんでした。
洗面所の下の棚を許可をいただいて確認すると、利用者さまがストックされた同じ銘柄の洗剤がたくさん出てきたため、洗剤だと判断して洗濯を行いました。
結果、柔軟剤入り洗剤だったので、問題はありませんでした。
認知症対応
年末年始に県外に住む子どもさんが、ご家族と共に帰省することになったので、家にあるご家族分の布団干しやシーツを洗ってほしいと依頼がありました。
介護保険では、ご本人以外にサービスの提供はできないとお話をした結果、ご立腹されてトラブルになりました。
管理者と同行して、再度ご説明をしましたが、若干の認知症が出てきたこともあって、ご納得されませんでした。
今度は、ケアマネから子どもさんへ直接電話でご説明したところ、ご利用者本人は納得されて、以降は洗濯をお願いされることはありませんでした。
カーテンの取り外し
あるご利用者宅へ訪問したとき、カーテンを長年洗っていないから洗濯するように頼まれました。
私はカーテンを外した経験がなかったので、良く分からず勢いをつけて外したら、カーテンを引っかける金具の部品の一つを破損してしまいました。
「金具部品は一つくらい壊れてもカーテンはつけられる」とおっしゃっていただき、許してもらえました。
今回は、しくみを確認せずに無理やり引っぱったことが大きな問題でした。
今では、しくみを理解したので、スムーズにカーテンの取り外しができるようになりました。
洗剤の盗難
近所のコインランドリーにて、毛布の洗濯を頼まれたときのことです。
洗濯中は席を離れていたのですが、戻ると洗濯機の上に置いたハズの洗剤が盗まれていたことに気づきました。
ご利用者の持ち物を紛失したことは、たとえ盗難であっても大変な問題なので、ご利用者には謝罪をしました。
対応策としては、ご利用者の持ち物には名前を書いておくこと、年内に置きっぱなしにしないことを徹底しています。
要望のヒアリング
洗濯機の横に柔軟剤が置いてあったため、確認をせず柔軟剤を入れて洗濯機を回したところ、娘さん専用に使っていたものだったらしく、ご利用者の服にニオイがついてしまいました。
強い香りが苦手なご利用者だったので、不快な思いをさせてしまい申し訳なかったです。
洗濯ものは、お湯に少しつけておき、長めに外干ししたことで、数回の洗濯でニオイはとれました。
「もしかしたら、他にも要望があるかも」と思い、洗い方について他に気にされていることがあれば教えてくださいと伝えたところ、下着以外にインナーもネット洗いをしてほしい、タオルは別にして回してほしいなど、要望をヒアリングできたので、結果的には良かったです。
洗濯のこだわり
洗濯に関してこだわりの強いご利用者宅へ訪問したとき、「洗濯は何分」「すすぎは何回」などと細かく指示してくるのですが、一番トラブルが多かったのは洗濯物の干し方でした。
ご自分で干していたときのやり方を詳しく教えてもらってから、やり方をマネて干すようにしたら、トラブルもなくお仕事を継続できました。
ゴミ出し
家庭のゴミ出しを、訪問先でホームヘルパーが担当することがあります。
ご高齢者の中には、身体が不自由で家の掃除がままならず、ゴミ屋敷のように汚れてしまうケースもあるので、ホームヘルパーによる介助はとても重要です。
ここからは、実際にホームヘルパーが訪問先でゴミ出しをしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
ゴミの分別
訪問先で、ご利用者から庭の植木鉢と傘の廃棄を依頼されたとき、私自身一人暮らしの経験がなく、ゴミの分別方法が分からなくて困ったことがありました。
地域の役所へ電話をして、ゴミの種類を伝えたところ、分別方法を丁寧に教えていただいたので、キレイに処分することができました。
ゴミ袋内に私物
依頼されて可燃ゴミをまとめていたとき、最後に袋の口を縛ったところで、ご利用者の方が「メガネケースがない、おそらくゴミ箱にいれてしまった」とおっしゃいました。
探しても見当たらないので、ゴミに混じったとみて間違いないと判断して、まとめたゴミ袋を一つずつ開けて探してみることに。
ゴミ袋の中からメガネケースが見つかり、解決はしましたが、再発防止のために真っ赤で目立つメガネケースと交換することになりました。
ゴミ袋の確認
ゴミ出しの援助に伺ったら、ご自身ですでに集めたゴミを玄関先に置いてくれていたので、声を掛けそのまま中身を確認せずに出してその日は終了。
翌日、ご立腹したご利用者からヘルパーステーションに「アルバムなどの大切なものが捨てられていた!」と電話が掛かってきました。
認知症のある方だったので、分からず近くにあったものをゴミ袋に詰めてしまっていたようです。
幸いなことに、資源ゴミなども分別されていなかったので、収集されずゴミ捨て場に置いてありました。
すぐに回収してご家族にはサ責と共に謝まりに向かい、今後はご本人様がゴミを集めてくれていても必ず中身を確認するよう改善することで、解決となりました。
ゴミ出しの確認作業
ケアマネと共にゴミ出しの生活援助に入ったとき、認知症のあるご利用者だったので、明らかにゴミなのに捨てたくないと言ったり、押し入れの整理中にお金が無くなったを言い出すたびにサイフを一緒に探したり、時間をかけながらゴミ出しを進めました。
一度ゴミ捨て場に出したゴミ袋から、また家に持ち帰ることもあって、ご本人の思い出の品かもしれないと思うと無理に捨てられないので、対応がとても難しかったです。
ケアマネと話し合って、とにかく時間をかけてゆっくりやるしかないと思い、一つずつ捨てても良いかどうか確認しながら進めて、ゴミ出しを完了しました。
枝のゴミ出し
ご利用者宅の庭にある剪定(せんてい)した大きな枝を捨てて欲しいと頼まれましたが、明らかに介護保険外のサービス業務だったので、その場でケアマネに相談しました。
ご利用者はケアマネをとても信頼していたので、電話で説明を受けると、すぐに納得いただけたので助かりました。
ゴミの分別ができない
訪問先のご利用者は、認知症が少し始まっていたので、何度訪問しても私の名前も顔も覚えてくれず、訪問する度に同じ自己紹介をしなくてはいけなかったのがとても苦痛でした。
ゴミの分別に関しても、何度ご説明してもいつも一つにまとめられてしまっていたので、毎回私がゴミの分別からやらなくてはなりませんでした。
「せめて生ゴミとその他のゴミだけは分けて欲しい」と思い、ダメもとで再度お願いしたところ、できるようになってくれたので、随分と楽になりました。
ゴミを集めるときは慎重に
ご利用者宅のゴミをすべてまとめて、ゴミ捨て場に出してきたら「入れ歯がない」と言われました。
まさかと思い、ゴミ捨て場に戻りゴミ袋を持ち帰ってきて中身を探しましたが、結局ゴミ袋には入っておらず、枕の下から出てきました。
今回の反省点としては、入れ歯がないと言われたときに「捨ててしまったのかも?」と自分の作業を疑ってしまったところです。
ゴミをまとめるときに、しっかりと確認していたなら、まずお部屋の中から捜索を始められましたし、早く解決ができました。
薬の受け取り
ご利用者の通院介助をしたときなど、薬剤師から薬を受け取りをヘルパーが代行することがあります。
血糖値や血圧を下げる薬の服用などを忘れてしまうと、ご高齢者にとっては命に係わることもあるため、責任は重大です。
ここからは、実際にホームヘルパーが病院などで薬の受け取りをしたときに体験した、失敗談をいくつかシェアします。
お薬手帳は必須
ご利用者と初めて行く薬局に着いたとき、お薬手帳を忘れていたことに気づきました。
薬剤師さんからは、飲み合わせの確認が必要な薬があるので、手帳が必要ですと言われたので、ご利用者がご自宅へ帰って薬局へ電話をかけて、お薬手帳の内容を口頭で伝えることで、私がお薬を受け取ることができました。
今回は、ご利用者の協力があって助かりましたが、今後は外出前の忘れ物確認を徹底しなければと感じています。
下の名前まで確認
ご利用者と薬局で薬の処方待ちをしていたとき、同じ苗字の別の方が呼ばれたときに間違えて料金を支払ってしまいました。
帰る前におかしいことに気付いたため、お薬は受け取れましたが、今後は名字だけでなく下の名前まで必ず確認するよう、心がけています。
飲み忘れの確認
利用者さまのご家族より、同じタイミングに服用するお薬ごとに一つの袋に入れてもらうように薬局に頼んで欲しいと言われていましたが、伝え忘れた失敗をしたことがあります。
利用者さまの1週間分をまとめた朝昼晩ごとのお薬ポケットに、飲むタイミングごとにお薬を分けて入れました。
また、お伺いするたびに、飲み忘れがないかどうかの確認をするようにしました。
ケアプラン変更
ある訪問先で、サービス終了まで残り5分のときに、薬局まで薬の受け取りをお願いされました。
薬の受け取りは、ケアプランに入っておらず、薬局は車で往復20分ほどかかる場所にあるので、次の訪問時間に間に合わないことを理由にお断りしたら、「できないなんて聞いてない!」と怒らせてしまいました。
後日、ケアマネとご家族を交えて、もう一度ケアプランを作り直しました。
他ヘルパーの調整も済んで、今では薬の受け取りを含めたケアを提供できています。
メモの大切さ
ご利用者と一緒に薬局で薬を受け取って帰宅後、服用方法が記載してある紙をどこかで失くしてしまったことに気づき、再度薬局へ行くことになってしまいました。
対策としては、薬局で受けた説明内容をメモすることを心掛けるようにしました。
ゼリーで薬の服用
薬の管理は、私たちヘルパーが不在の時間に飲み忘れているケースが多く、薬局に行くと担当の薬剤師さんからお叱りを受けることもあります。
ストレートに飲むようお声がけしても、なかなか飲んでもらえないご利用者だと、苦労します。
今回は、ゼリーと一緒に服用を促すなどで対応すると、うまくいくようになりました。
他ヘルパーとも連携を強化することで、ご利用者も徐々に自分から服用するよう変わっていただけたので、良かったです。
薬受け取りの代行
ご利用者の通院介助をしていたときに、ご利用者の友人が多く集まる病院だったので、2階にある薬の受け渡しに向かうのに自分の分も取ってきて欲しいと頼まれて困りました。
友人だけでなく、ご利用者からもお願いされると強く断れず、初めはボランティアで代行してしまったこともあります。
対応としては、「薬剤師さんから薬の説明を受ける必要があるので、私は代行できないし、責任も取れません。ご自分で言ってください。」と伝えると、以降は頼まれなくなったので良かったです。
往診へ変更
有料老人ホームで働いていたときに、利用者様を車イスで近くの病院まで連れて行っていたのですが、あるとき、体調が悪いので薬だけもらってきて欲しいと頼まれたことがありました。
本人不在で受診もせずにお薬だけはもらえないと思います、と伝えましたが、本人は「いいからお薬もらってきて」と一点張りでした。
主治医の先生に相談したところ、ホームの方に往診に来てくれました。
以降は、往診と訪問介護が入り、薬も持ってきて服薬管理までしてもらえるようになりました。
本人も体調不安についてゆっくり話を聞いてもらえるので安心されていました。
誤って服用
ご自身で服薬管理のできないご利用者を担当していたとき、朝食後に服用する分を誤って昼食後に服用させてしまったことがありました。
当日の夕食前に気づいて、ケアマネ等に連絡をとったところ、病院で診察を受けることになりました。
薬の管理は、場合によっては命に係わることも珍しくないため、より一層管理には気を付けるようになりました。
ホームヘルパーのタイムスケジュール例
正職員のホームヘルパーともなると、一日7~8件の訪問をすることも珍しくありません。
下表は、登録ヘルパーのある一日のタイムスケジュール例です。
時間 | お仕事内容 |
---|---|
9:00~ | 1件目の訪問先へ移動。 |
9:30~ | 訪問先到着後、他ヘルパーからの引継ぎ内容の確認。 ケアプランに沿った介助を提供する。 |
12:30~ | 事業所へ戻り、午前中訪問した報告書の作成をして、お昼休憩へ。 他ヘルパーと談笑しながらの情報交換も行う。 |
14:00~ | 2件目訪問先到着後、他ヘルパーからの引継ぎ内容の確認。 ケアプランに沿った介助を提供する。 |
16:00~ | 3件目訪問先到着後、他ヘルパーからの引継ぎ内容の確認。 ケアプランに沿った介助を提供する。 |
17:00~ | 訪問先から直帰で帰宅。 |
参考資料等
厚労省資料(平成十二年厚生省告示第二十三号):
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/02/dl/s0219-2q.pdf
生活援助が足りなくなる?! 訪問介護の生活援助に “回数制限”10月から:
https://www.min-iren.gr.jp/?p=36327