子育て中の主婦は、子どもが小学校や中学校に進学すると、ある程度時間にも余裕が出てきますよね。
介護士としての経験を活かして「そろそろパートでも…」と考えたときに、比較的自由度が高く、短時間勤務ができる訪問介護のお仕事が選択肢にあがります。
幼児期の子どもを持つ主婦が、訪問介護で働くことはできるのでしょうか。
今回は、実際に働いている筆者の周りにいる、訪問介護士の意見なども交えて紹介します。
訪問介護の仕事内容とは
訪問介護の仕事内容は、おもに「身体介護」と「生活援助」があります。
身体介護
食事介助/入浴介助/排せつ介助/歩行介助/更衣介助/体位変換/移乗介助
生活援助
掃除/洗濯/食事準備/移動介助/受診手続き/その他
引用:
https://kaigo.homes.co.jp/manual/homecare/zaitaku_service/visitcare/
訪問介護と他の介護現場の大きな違いは、ご利用者様がご自宅で自分らしく生活されるためのサポートを行う点です。
ご自宅で行う介護ですので、自然と家事にかかわる掃除や洗濯、料理などのサポート業務が多いです。
日ごろから家事を任されることが多い、主婦層の持つスキルや経験が大いに生かせる特徴があるんですね。
訪問介護の3つの魅力
マンツーマンのサービスができる
施設介護経験者なら一度は「もう少し、利用者さん一人一人と関わりたいな」と思うことがありますよね。
デイサービスやショートステイなど、施設の介護では、介護士一人で複数の利用者さんの対応をすることがほとんどなため、身体介護や雑談など、どうしてもササっと済ませてしまいがちです。
訪問介護の場合、利用者様と一対一なので、表情や行動をしっかりチェックすることができますよ。
人間関係が良好な事業所が多い
介護士は、同僚や先輩職員との人間関係やイジメ等の問題に悩まされることが多いですよね。
訪問介護士の場合、同僚など他の介護士とは、事業所で昼食時に顔を合わせる程度ですから、勤務中に気疲れをすることはほぼありません。
筆者の周囲で働く訪問介護士に話を聞いてみても、「人間関係のいざこざが苦手だから、他の介護士と会わない訪問介護は気がラク」と話していました。
自分の生活リズムに合わせた働き方が実現できる
施設勤務の場合、現場が忙しくなれば、仮に4時間勤務であっても、すぐに帰宅できないこともあります。
一方、訪問介護は、一件あたりの介護時間が決まっているため、残業はほとんどありません。
「登録型」(※後述いたします)であれば、自分の働ける日時に仕事を入れられるのも、大きな魅力ですよね。
訪問介護士のデメリット
調理が苦手な人は厳しい
調理が苦手な訪問介護士は、訪問先で苦労するのは間違いないでしょう。
訪問先は、他人の家の冷蔵庫ですから何が入っているかわかりませんし、消費期限が1年以上切れている肉が出てくるなんてこともあるので、使える食材、使えない食材を見極めて調理しなくてはなりません。
実際に、筆者の周りで働く訪問介護士は、その場でスマホを使ってレシピを調べたり、少ない材料で作れるレシピ本を参考に自宅で勉強しているようです。
担当を変えられてしまうこともある
訪問介護の場合、つねに一対一で対応する性質上、利用者様とトラブルが起きると、事業所は他の介護士と変更して対応するケースが多いです。
担当を変えられると介護士でなくても落込んでしまいますよね。
しかし、訪問介護は、担当を変えられても折れない気持ちが必要です。
実際に私が耳にした利用者様から事業所へきたクレームの中には、「調理したときにほうれん草の根元を捨てたから担当を変えて」などといった、「そんなことで?」と思ってしまうような理由で担当を外されることもあります。
関連ページはこちら ↓
-
-
ホームヘルパーが調理中、利用者様に味見をしてもらうメリットデメリット
新米のヘルパーにとって、訪問介護で調理を担当すると「利用者様の好みの味に仕上げられるかな…」と不安になってしまいますよね。 基本的には、利用者様の好みを把握しなければいけないので、味見はしてもらった方 ...
続きを見る
すべての介護業務にいえることですが、利用者様と密なコミュニケーションをとっていくことが、トラブル防止のコツといえるでしょう。
訪問介護の働き方は2種類
訪問介護のお仕事には、直接雇用されてパートや正社員として働く「直接雇用型」と、事業所でヘルパー登録する「登録型」の2種類の働き方があります。
通常の転職活動と同じく、事業所の面接を受けて入職する「直接雇用型」に対して、「登録型」は、自分の希望する日時にお仕事が入ったときだけ働くことができる、訪問介護特有の働き方です。
育児中の主婦の多くは、空いた時間にパートをすることで、効率よく稼ぎたいと希望していますが、「登録型」訪問介護士は、まさに主婦のニーズに応えるワークスタイルといえるでしょう。
訪問介護スタッフの一日の流れ
子育て主婦が訪問介護士として社会復帰するときに、気になるのが子育てとパートの両立ができるかどうか?ですよね。
今回は、筆者の友人でもある、訪問介護仕をしながら2人の子どもを育てる(保育園児・小学生)主婦のスケジュールを一例として紹介します。
6時~9時 | 起床。子どもを学校や保育園に送る |
9時~10時 | 利用者様のご自宅へ訪問(自家用車で移動) |
10時~10時30分 | 2件目の利用者様ご自宅へ移動 |
10時30分~11時30分 | 利用者様のご自宅へ訪問 |
11時30分~13時 | お昼休憩と3件目の利用者様ご自宅へ移動 |
13時~14時 | 利用者様のご自宅へ訪問 |
14時~14時30分 | 4件目の利用者様ご自宅へ移動 |
14時30分~15時30分 | 利用者様のご自宅へ訪問 |
16時~18時 | 勤務終了後、そのまま子どものお迎えへ。 |
18時~21時 | 夕飯の準備や家事全般 |
彼女は、上記のタイムスケジュールで、週に4日ペースで勤務しています。
ただし、4日のうち一日だけ、お昼に退社する日を設けています。これは、家事をこなす時間を確保しているんですね。
彼女のように、自分のライフスタイルに合わせた働き方が実現できるところが、訪問介護の大きなメリットです。
訪問介護士のリアルボイス
現役の訪問訪問介護士は、仕事への不満はないのでしょうか?
ここでは、訪問介護士たちのリアルボイスを紹介します。
子持ちパートとしては1時間単位のコマで働ける
ので働きやすいです
直行直帰でやるべきことをちゃんとやっていればよい
でも時給の割に任される責任は重いです
利用者さまがサービス中に倒れたり入院することも
あります
登録で稼ぐなら複数事業所に登録が良いと思います引用元:YOMIURI ONLINE
コミュニケーションも「慣れ」が大事ですよね。私も最初は上手くできませんでしたが、引き継ぎ時にお客様の人となりや趣味を教えてもらい、だんだんコミュニケ―ションがとれるようになりましたし、経験を積むうちにはじめての方でもどんな対応をすれば良いか分かるようになりました。
引用元:介護職net
現場の皆さんの声をまとめると…
ちなみに、筆者の訪問介護士として働く友人は、「訪問介護で気を付けていることは利用者さんとコミュニケーションをしっかりとること!情報をどんどんひきだす。相手に合ったサービスで信頼してもらう」と話していました。
訪問介護をワンステップと考えれば気が楽になる
子育てしながら登録ヘルパーとして働いていると、短時間勤務ばかりが続くことで、思い通りの収入が得られない等、今後のキャリアについて不安を感じることもあるでしょう。
しかし、訪問介護士でも、コツコツ続けることで、介護福祉士の受験資格を得ることも可能です。
いずれ、フルタイムで働ける時期が来たときに、訪問介護士としての経験は、1つのステップになりますよ。