ホームヘルパー用語集

登録ヘルパーとは

訪問介護のヘルパーとして働こう!と求人を見ていると、職種欄などで「登録ヘルパー」の呼称を目にします。

一方で、雇用形態の欄をみると「パート」だったり「アルバイト」と記載されているため、登録ヘルパーとパートヘルパーの違いが分からず、困惑される方も多いのではないでしょうか。

ここでは、訪問介護事業所独自の働き方である「登録ヘルパー」について、雇用環境や時給、各種保険加入条件などの特徴や、メリットデメリットなどをまとめました。
ご参考になれば幸いです。

登録ヘルパーの雇用環境について

登録ヘルパーの雇用形態は、「パート」や「アルバイト」が大半を占めています。

フリーランスのご経験がある方は、「登録ヘルパー = 業務委託」とイメージされるかもしれませんが、登録ヘルパーの場合、事業所が雇用主となるため、自由な働き方ができるわけではありません。

登録ヘルパーの雇用期間は、期間の定めがなく「無期雇用」がスタンダードですが、登録しているけど仕事が回ってこないため、実質的には雇用関係が成立していないこともあります。

登録ヘルパーは、日中の空き時間などを利用して働くケースが多く、介護保険上の解釈では「非常勤」扱いになることがほとんどです。

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就業ルールなどが記載されている雇用契約書は、パートやアルバイトと内容を統一している事業所もあれば、登録ヘルパー用の雇用契約書を作成しているところもあります。

登録ヘルパーの時給(給料)について

登録ヘルパーの時給や給料については、事業所によってそれぞれですが、基本的に以下のルールがみられます。

時給や手当について

  • 身体介助と生活援助それぞれに時給額が設定されている
  • 時給の相場に関しては、生活援助の時給額は900~1,300円、身体介助は1,200~1,600円程度
  • 30分の訪問でも、1時間として時給換算している事業所もある
  • 交通費の支給と待機時間にも給与保証があるスタイルと、実労働時間のみ給与が発生するスタイルのどちらかを選択できる(※後者の方が時給が高い)

他にも、介護福祉士などの資格保有者には資格手当がつくケースや、介護職員処遇改善加算による手当支給があるケースもあります。

登録ヘルパーは高時給で、パートヘルパーは低時給とよく言われますが、前者は移動や待機時間が時給換算されず、後者はどちらも時給換算される傾向にあります。
また、移動にかかる交通費に上限設定があると、長距離移動を要する働き方はよりリスクが高まります。

移動時間の時給について

  • 移動時間は時給が発生しない
  • 移動時間に対しては、数百円の移動手当がつく
  • 移動が車やバイクの場合、交通費は申請により別途支給(※金額の上限設定がある場合も)

長距離移動によるリスクは、時給換算されないだけではありません。
車移動となると、事故を起こしたり、狭い小道を走らなければいけない場面もあるため、運転技術に不安のあるヘルパーは、よく検討してから働く必要があるでしょう。

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雇用保険、社会保険加入の条件について

労働基準法(※以下、労基)が定める雇用保険、社会保険の加入条件に関しては、以下の通りです。

雇用保険…31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働いている

社会保険に関しては、2016年10月1日から、以下すべてを満たすと加入することになります。

  1. 所定労働時間が週20時間以上
  2. 月給が8万8000円(年収106万円)以上
  3. 1年以上の雇用見込みがある、または1年以上の勤務実績がある
  4. 学生でないこと
  5. 従業員規模が501人以上の事業所に勤務している

上記の条件には、「従業員規模が501人以上の事業所に勤務している」とありますが、2019年4月からは、事業所と従業員双方の合意があれば、500人以下の事業所でも加入手続きが可能となりました。

登録ヘルパーに当てはめると、カンタンにいえば月20時間以上の労働で88,000円以上の稼ぎがあれば、雇用保険・社会保険の加入が認められます。
ただし、雇用保険は強制加入であり、社会保険は任意加入です。

週30時間を超えれば、社会保険も強制加入となります。

登録ヘルパーの場合、移動や待機時間が労働時間としてカウントされない性質上、雇用保険は加入できても、社会保険加入できるケースは少ないといえます。

ポイント

雇用保険の加入は、失業時の手当支給だけでなく、職業訓練の応募を優先的に行えるなどのメリットもあります。

ご利用者からのキャンセル時の休業手当について

ヘルパーのお仕事は、訪問先のご利用者の緊急入院や容態の悪化などが原因で、前日や当日にキャンセルされることも珍しくありません。

キャンセルが出たときの休業手当の支給方法は、月給制の正社員や時給制のパートであれば、事務所待機や内勤によって代替業務がありますが、登録ヘルパーに対しては、事業所によって対応がさまざまです。

  • キャンセルによって空いた時間に、他の訪問先へ向かうよう配慮される
  • 前日までにご利用者からキャンセルがあった場合、休業手当は出ない
  • 前日の17時までにご利用者からキャンセルの連絡を受けた場合は、休業手当は出ない
  • 当日キャンセルであっても、ご利用者から連絡があれば休業手当は出ない
  • 当日までご利用者から連絡もなく、訪問後にキャンセルが発覚した場合は、休業手当が支給される

休業手当の支給方法は、事業所によってさまざまです。

移動にかかった交通費支給のみで、休業手当は0円のケースもあれば、500円程度の金額しか支給されないこともあります。

一方、1件あたり70~100%の休業手当を支給しているケースもあるため、働く事業所の選び方によって収入額は変動する傾向にあります。

有給休暇の付与・申請について

結論から言うと、登録ヘルパーであっても、条件を満たせば年次有給休暇は付与される決まりになっています。

登録ヘルパーの有給休暇が付与される条件は、厚生労働省より以下のように定められています。

  1. 短期間の労働契約を繰り返し更新している訪問介護労働者であっても、雇い入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合は、年次有給休暇を与えなければなりません。
  2. 所定労働日数が少ない労働者に対しても、所定労働日数に応じた年次有給休暇を付与しなければなりません。

「1.」は、たとえば1か月の契約で働いたとしても、雇用期間の更新を繰り返した結果、6ヵ月を超えたヘルパーであっても、有給をつけなければいけませんよ、という意味です。

「2.」で記載している”所定労働日数が少ない労働者”とは、訪問介護で言えばパートや登録ヘルパーのことを指します。
登録ヘルパーのような従業員であっても、労働日数に応じて有給をつけなければいけない、という意味ですね。

「所定労働日数」とは、月や週単位で働くべき日数を表す用語です。
しかし、登録ヘルパーの場合、働きたい曜日や時間の要望と事業所が受けた訪問の仕事がマッチしたときに働くスタイルなので、労働日数は明確に決められていません。

労働日数が明確に決められていない場合は、過去6ヶ月間の勤務実績を2倍にした労働日数を基準に、表に当てはめて有給日数を算出するルールとなっています。

たとえば、6ヶ月間で65日働いていたとしたら、「65 × 2 = 130日」を表(※水色の部分)に当てはめると、有給は5日付与されることがわかります。

さらに、もう半年働いたとして、トータル1年で90日働いていたら、「1年6ヵ月」の欄をみると有給日数は4日になります。

しかし、法的に保障されているとはいえ、訪問介護事業所の多くは、登録ヘルパーの有給取得や唱歌を認めていないのが現状です。

まとめ

登録ヘルパーとして働くのは、効率だけで言えば決して良いとはいえません。
しかし、子育て中や家の事情などで、働く時間の限られている主婦層などにとっては、選択肢の一つとして登録ヘルパーはアリでしょう。

ただし、希望する日時や曜日に必ずしも仕事が入る保証はないため、事務所の就業ルールに違反しなければ、事業所の掛け持ち登録によってお仕事量を増やす工夫も必要になってきます。

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台所のパンダ

介護士の経験は10年。 今までに採用担当、デイサービス主任、生活相談員を経験しています。 現在も子育てをしながら介護士として勤務しています。

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